籠の鳥


 あれは、尾羽根を切り裂かれ、飛べなくなった哀れな小鳥

 弄ぶかのように、愛しむかのように、大事に大事に小鳥を籠の中へと閉じ込める




 「うはっ、いいカラダしてんじゃねえか。」
 「い、いい加減にして下さいっ。行き成り、なんなんですか!」
 少しだけ語尾が震えてはいるものの、男の腕を振りほどき、制服姿の少女は強い口調ではっきりと言った。
 「ほぅ、震えてるだけが能のお嬢様かと思いきや・・・なかなかの肝っ玉じゃないですか。」
 少し年のいった初老の男が現れ、睨みつけられながらも少女の顎に手をかけた。
 まわりを、比較的若い男達が囲む。
 「行き成り車に連れ込んで、こんな所にまで連れて来て・・・訴えますよ。」
 「まぁ、そういきり立つものではありませんよ、お嬢さん。こっちにも、連れて来るには来るなりの訳があるんですから。」
 初老の男が目配せすると、奥の部屋から一人の女の子が駆け込んできた。
 「おねーちゃんっ!」
 ガタガタと振るえながら、その子供は少女に抱きつく。
 「美奈っ!?あ、貴方達、一体どうゆうつもりですかっ!」
 美奈と呼ばれた女の子をぎゅっと抱きしめ、少女は周りの男達を睨みつける。
 「いやね、貴方方の親父さんが、莫大な借金を残して夜逃げしてしまったんですよ。いや、昼間に逃げたから、昼逃げですかね?」
 「・・・嘘っ!?」
 少女は、まともに顔を青ざめさせる。
 「いいえ、嘘などではないんですよ、これが。だから、私どもも困っているんです。貸したからには、ちゃんと返して頂かないとね。これ、社会の常識でしょ?」
 「あたしに、どうしろって言うんですか・・・」
 「ええ、だから返して頂きたいんです・・・娘である、貴方にね。」
 「そんな事言われても・・・」
 父親が返せなかったものを、娘である彼女に返せるわけがない・・・そんな事は、彼らにだってわかっている筈である。
 「わかっています、ですがせめて利息分だけでも月々払っていって頂かないと・・・」
 「どのくらいなんですか・・・」
 初老の男は、到底一介の学生では払えないような額を提示した。
 「そんなの、無理です・・・」
 既に、少女には、最初の頃の気概はない。
 「いいえ、無理ではありませんよ・・・貴方が風呂の中に沈めばね。」
 少女の後ろに居た男が、風呂の中に沈めるとゆうのは、体を売らせるって事だと囁いた。
 「・・・!?」

 そう言えば、その日は出だしから最低だった。


 「あの・・・僕、佐伯さんの事が・・・」
 「ごめん、あたしまだそうゆう事考えられなくて・・・」
 完全に嘘ではなかったが、本当でもない。
 今、父親がいろいろ忙しいこの時に、娘である自分が遊んでいるわけにはいかないと思ったからだ。
 「・・・そうですか。」
 差し出された便箋を断り、もう一度こめんねと謝る。
 それにしても・・・どうして自分には、この手の男かし集まらないのだろうか。
 好意を寄せてくれるのは、純粋に嬉しいが・・・自分の所に来たのは、小太りで眼鏡をかけて、暗そうで・・・いわゆる『オタク』みたいな人。
 もう少し、カッコイイ男の人はこないものかしらと、少女は心の中でため息をつく。
 その時、茂みの中がざわついた。
 「・・・?」
 「あっれー、結城君ってば、もしかして告白なんかしちゃってたりしたの〜、だいたーん。」
 クラスの男子だ。
 彼だけじゃない、後ろからクラスメートや野次馬で集まった他のクラスの生徒も・・・
 (もしかして、ずっと見られてた!?)
 「え、あ、えっ・・・!?」
 告白してくれた、結城君の方も戸惑いを隠せない。
 「て、ゆーかー、結構身のほど知らずって感じよねー」
 「まったくだぜ、うちで一番の美少女の佐伯奈菜と付き合おうだなんてよ。」
 「お前だったら・・・そうだ、この辺がお似合いだぜ。」
 「ちょっと、よしてよ。あたしだって、こんなのご免させて貰うわよ。」
 下卑た笑いが、あたりに充満する。
 「えーなになに、佐伯奈菜さん、僕はあなた・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 その時、佐伯奈菜の瞳には、暗く濁った目に変わってゆく一人の少年の姿が写しだされていた。


 「それ、ちょっと待ってあげられないかな?」
 その時、突然声を掛けられた。
 「・・・結城・・・君・・・?」
 「これは、結城の坊ちゃん。何で、こんな所に・・・いやいや、それより、それはどうゆう事ですかい?」
 男の一人が、丁重に彼を出迎えた。
 「彼女は、僕のクラスメートなんだ。」
 男は、彼の言葉に驚くような素振りを見せながらも、卑げた笑みを浮かべて。
 「お気持ちは、わかりますが・・・我々も、彼女の父親には、手ひどい目に合わせられていますから。」
 「わかってるよ、唯覚悟を決める時間が欲しいって事・・・彼女、頭いいからね、時間がたてば、払わなくてもいい借金だって事に気づかれるよ。」
 その時、男達の雰囲気が変わった。
 「坊ちゃん、我々には我々のやり方ってもんがあります・・・これ以上の口出しは・・・」
 「それ・・・どうゆう事・・・」
 佐伯奈菜は、一筋の希望にすがり、クラスメートの助言に耳を傾ける。
 「簡単な事だよ、ただ拒否すればいいんだ・・・あくまで父親の借金であって、君の借金じゃないだろ?ただし、父親がどんな目に合わせられるかは、知らないけどね。」
 最初は、唸っていた男達も・・・後半の言葉に活気ずく。
 「そうですねぇ、ここで断られたりするものなら・・・どうやってでも、貴方の父親を探しだして、それ相応の目に合わせないと、示しはつきませんね。」
 心得たとばかりに、初老の男が後を引き継ぐ。
 奈菜の妹は、お父さん、お父さんと泣き叫んだ。
 それら、全てがプレッシャーへと変わる。
 「・・・そ・・・んな・・・・・・」
 父親を見捨てられるわけがない・・・こんな借金をして、夜逃げする人でも、自分達には優しい父親だったのだから。
 「後は、もう一つ・・・君の家の借金を肩代わりしてくれる人を見つけるか・・・だ。」
 投げかけられた、最後の希望・・・
 「それって・・・」
 「まぁ、条件次第だけどね・・・佐伯奈菜さん。」

 「それじゃ、新山さん。その子の世話を頼んだよ。」
 お抱えの運転手だろうか・・・初めて見る顔だった。
 「はい、坊ちゃま。後の事は、お任せください。」
 「・・・どうするつもり。」
 「別に、唯僕の家に一時的に置いておくだけだよ。まぁ、君が信じられるかどうかは知らないけど、これから話す事・・・あの子に聞かせたくはないだろ?」
 奈菜は、その言葉に唇を噛み締めて、頷く。
 「で、坊ちゃん。どうするおつもりで。」
 男が、頭を下げて彼の意を尋ねる。
 「場合によっては、僕が彼女の借金を肩代わりするって事ですよ、橋沼さん。一応、親分さんには話しを通してありますから、これからする事は、貴方方の責任にはなりません。」
 男達が、安堵したように頷く。
 佐伯奈菜は、その様子を不思議な気持ちで見ていた。
 クラスでは、うだつのあがらない、ただの少年なのに・・・ここでは、それなりに敬意を受けている。
 彼自身の力によるモノではないにしてもだ。
 「さて、まず君には三つの選択肢がある。一つは、父親を見捨てて保護施設に入る事。二つ目は、その体を売る事。」
 出されたコーヒーを一口すすり、少年は唇を濡らす。
 「そして、最後の三つ目、ずっと僕の・・・結城和也のモノになって飼われる事。」
 その言葉を聞いた瞬間、僅かではあるが希望を持たせられていた事もあって、彼女は酷く激昂する。
 「な、なによそれっ!!それじゃ、あんたにあたしの人生を売れって事?ふざけないでっ!」
 「別に、それほど激昂される内容とは思えないけどね。そうすれば、僕は見返りとして、借金の肩代わりをしてあげるよ。そうすれば、父親が酷い目に合うこともなく、君も不特定多数の男に酷い目に合わせられる事もない・・・一つ言っておくけど、ここで沈められたら大変だよ。普通の風俗嬢と同じだなんて、考えない方がいい。それにだ、妹さんの面倒も見てあげるし、君も学校にこれからも行き続ける事も出来る。もちろん、学費や生活費は、心配しなくても僕が出すよ。」
 確かに、それは破格の条件だった。
 一介の学生でしかない自分が体を売るだけでは、とてもじゃないが莫大な借金なんて消えるわけないのだから。
 その上、妹の事や、生活の保障までしてくれるとゆう・・・これ以上の条件はないだろう。
 「さて、どうする?」
 結局の所、選べる道など一つしかなかったって事なのかもしれない。


 「どうする、シャワーでも浴びてくるかい?」
 場所をラブホテルに移して、和也はベットの上に寝転がる。
 「どうして・・・なの・・・」
 奈菜は、わからない事があった。
 どうして、あれだけのお金を出してまで、自分を手に入れようとしたのか。
 「ふん、奈菜が僕の事をあそこまでコケにしてくれたからさ。別に振られる程度なら、どうも思わなかった・・・まさか、人を呼び集めて道化にさせられるとは思ってもいなかったからね。」
 それは違うっ・・・そう言おうとして、奈菜は口を開こうとしたのだが、和也の目を見て体を強張らせた。
 あまりに暗い瞳。
 憎悪すら感じる。
 「っま、安心してよ・・・僕は、それほど痛いのとかには、興味ないから。」
 だが、それは一瞬の事だった。
 それが、錯覚と思えるほどいつものぬぼっとした瞳に立ち代わる。
 「・・・さて、そろそろ始めようか。」
 「え・・・あ、はい。」
 奈菜は、その言葉を聞いた瞬間、体に緊張が走り、冷水を浴びせられたように体が恐怖で冷たくなる。
 覚悟はしていた。
 あの条件を飲んだ時に。
 それでも、自分の全てがあの男によって汚されるのかと思うと・・・恐怖を感じずには、いられない。
 だが、一向に和也が自分に触れてこようとは、しない。
 ぎゅっと瞳を瞑っていた奈菜は、何故だろうと薄目を開く。
 和也は、今だベットの上に寝転んだままだった。
 奈菜は、何故だろうと呆然とする。
 「ちょっと変わった趣向で行こうか。」
 和也は、奈菜のその様子を見て、低く笑った。
 「奈菜が、僕を襲うんだ・・・いや、合意の上だから、『抱く』か。」
 その言葉に、奈菜の頬が一瞬にして、上気した。
 「っな!?」
 「嫌なら、いいよ。」
 「・・・っ!?」
 「後の二択から、奈菜の未来を選択すればいい。中には、奈菜が傷つかずに済む未来もあった筈だけど?」
 「そんなことっ・・・出来る訳・・・」
 結局、自分には、逃れるための道など無いとゆう事を実感させられた。
 寝転がる和也の下に、奈菜は黙って近づいてきた。
 そこで、彼女の動きが止まる。
 まだ、嫌がっているとか、そんなわけではない。
 (抱くって・・・どうすれば・・・)
 彼女は、あまり詳しい性知識はもってはいなかった。
 どうすれば、子供が出来るかくらい知っているが・・・そこに行き着くまでの行為のやり方までは知らない。
 元々、そういった話には、参加した事はなく。周りもそんな風に扱っていた。
 固まってしまった奈菜を見て、和也は一つため息をつくと。
 「わかった・・・じゃ、まずキスをして。」
 「キ、キス!?」
 再び顔が真っ赤になる。
 何をキスくらいで・・・和也の顔にそんな表情が浮かび上がった。
 (そうよね・・・これから、それ以上の事をするんだし・・・・・・)
 覚悟と諦め・・・二つの感情が合い混ぜになった表情で、奈菜は気を落ち着かせる。
 「そ、それじゃっ、行きますっ!」
 それでも、緊張は隠せない。
 自分にとって、初めてのキスがこんな形で無くなってしまう事に、涙が滲みそうになるけど、なんとか堪える。
 和也の顔を抑えると、狙いを定めて自分の唇を重ねた。

 ゴチン!

 「「・・・・・・・・・・・・っ!!」」
 二人は、声にならない叫び声をあげた。
 急降下した彼女のキスは、狙いたがわず命中はしたが、行き過ぎて歯をぶつけ合う結果となった。
 (痛い、痛い、痛い、痛いぃぃぃぃ!)
 和也は、顔を布団に沈め込ませて、その鎮痛に耐えようとしている。
 一方、奈菜も口元を抑えて、必死に痛みに耐えようとしていた。
 「い、行き成り何をするっ!」
 「キ、キフ・・・」
 奈菜は、思わず申し訳なさそうに目を伏せた。
 (そう言えば、そうゆう子だったっけ・・・)
 今まで、憎しみだけが先行していて忘れていたが・・・自分が好きになった佐伯奈菜とゆう少女は、明るく元気で優しくて・・・少し天然が入っていた。
 今の一撃で、正直どす黒い気持ちは、少しだが消えかけてきていた。
 「・・・ゆっくりと、顔を近づけて。」
 「・・・うん。」
 素直に頷くと、奈菜は和也の体を跨いで四肢をつき、顔をゆっくりと和也の顔に近づけていった。
 二人の唇が、重なりあう。
 「・・・ん・・・・・・」
 奈菜の心に、やはり嫌悪感が湧き上がる。
 好きでもない相手としているのだ・・・しかも、初めてを・・・それは、嫌でも悲しみを思いださせた。
 奈菜は、しばらく唇を重ねた後、ゆっくりと顔をあげる。
 奈菜にとっては最悪ではあったが・・・和也にとっては、最高だった。
 彼女の唇の柔らかさが、甘い香りと味が・・・和也を憤らせる。
 「じゃ、次のキスは舌を入れてみようか。」
 「し、舌っ!?」
 予想外の言葉に、奈菜は驚きの声をあげた。
 (相手の口の中に舌を入れるってゆうの?)
 「そう、僕の口内を舐め尽くすんだ。」
 ほれ、とばかりに口を半開きにして、彼女が来るのを待ち構える。
 一度深呼吸して、覚悟を決めると。唇を重ねて、舌をおずおずと差し入れた。
 だが、恥かしさからか、それを動かす事が出来ない。
 和也が、軽く背を叩いた。
 催促しているのだ。
 少しだけ、舌を動かし始める。
 奈菜の舌が、和也の舌に当たった。ぬめっとした感触に悪寒が走り、思わず唇を離してしまう。
 「・・・奈菜。」
 「ご、ごめん。」
 奈菜は、もう一度顔を近づけ、唇を重ね合わせた。
 同時に、彼の中に舌を入れる。
 今度は、最初から舌を動かし始めた。
 湧き上がる嫌悪感を抑え、懸命に動かす。
 歯茎を頬の内側を懸命に舐めた。
 「ん・・・んふ・・・んん・・・・・・・・・」
 鼻息が漏れ、互いの鼻腔をくすぐる。
 奈菜は、兎に角舌を動かす事だけに、全神経を集中させた。
 いつのまにか、和也の首に手を回し、体も和也に重ねていた。
 集中するあまり、どうやら無意識の内に楽な体勢になろうとしていたのかもしれない。
 「・・・ん・・・・・・」
 唇を離すと、奈菜は息切れを起こしながら、妙に気だるい感覚に襲われる。
 和也の方でも、やはり少しばかり息を切らせていた。
 「それじゃ・・・そろそろ服を脱いで貰おうか。」
 ついにきた・・・奈菜は、息を静かに飲み込んだ。
 しかし、その指示に素直に従い、ベットから立ち上がろうとすると、和也に腕を掴まれた。
 「キスをしながら、脱ぐんだ。」
 一瞬だけ躊躇するが、奈菜もここまできて、その命令に足掻こうとゆう気力は生まれない。
 素直に唇を重ねて(ここでは、流石に舌を入れろとは言わなかった。)、彼女は自分の制服を脱ぎ始めた。
 二人が通う学校は、ブレザータイプの制服だった。
 ボタンを外し、上着とシャツを脱ぎ捨て、スカートのホックを外して膝まで落とした。
 奈菜は、唇を離すと、一度体を起こす。
 そうしてから、足をスカートから抜き取った。
 奈菜のその美しい体を遮るものが、大事な所を隠している下着のみとなった。
 いやがおうにも、和也の方は燃え上がった。
 何しろ、佐伯奈菜は、クラス所か同学年の中だけに留まらず、学校の中で一番可愛いとさえ思えるような美少女だ。
 性格もよく、頭も運動神経も良い、まさしく否の打ち所のない少女。
 それが、自分に跨って下着姿になっている・・・これが、興奮せずにいられるだろうか?
 和也は、彼女の体に思わず手を伸ばしかけて、ぎりぎりの所で止めた。
 彼女の体を弄ぶ事は、後でも出来る。
 今は、彼女に抱かれる感覚を楽しみたい。
 奈菜は、恥かしさで顔どころか、体中真っ赤にしながら、再び唇を重ね合わせると、下着を脱ぎ始める。
 ブラのホックを外すと、はらりと和也の胸の上にブラジャーが舞い落ちる。
 そして、ショーツの上に彼女の手が伸びた。
 ショーツに指を差し入れ、手を掛けた所で動きが止まる。
 どんなに諦めても、覚悟を決めても・・・それでも、年頃の女の子、それも純粋なだ・・・そんな子が、自ら脱げるわけなかった。
 唇を重ね合わせたまま、動きは止まり。その瞳から、涙が零れ落ちる。
 涙は頬をつたい、二人の唇へと落ちていく。
 (しょっぱいな・・・)
 だが、和也は、それこそ報いだと思った。
 自分に対して行った、あの時の。
 愛情と憎しみは、コインの裏表・・・その思いの強さは、奈菜とゆう少女の事がそれほどまでに好きで、憎い事を指し示している。
 彼女の腕を掴んで、下ろすようなジェスチャーをする。
 彼女は、静かに瞼を下ろすと、諦めたように立ちあがりショーツをのろのろと脱ぎ始めた。
 「・・・ああ・・・・・・」
 これで本当に穢れてしまうのだとばかりに、落胆の声を漏らす奈菜。
 一方和也は、この姿を見ただけで、痛いくらいに腰のものが起立してしまった。
 あの腰元を、もっと良く見たい、嗅ぎたい、触りたい、なぞりたい、舐めてみたい・・・そして、入れてみたい。
 そんな欲求が、和也を襲うが、それに耐えながら次の指示を出す。
 「次は、僕の服を剥いで・・・キスはしなくてもいいよ。流石にやりづらいだろうから。」
 奈菜が、和也の服に手をかけ始める。
 ボタンを一つ外すたびに、彼女の丁度いい大きさの胸が、上下に揺れた。
 それだけで、逝ってしまいそうになる。
 万歳をして、シャツを脱がせると・・・今度は、ベルトに手をかけた。
 その時、大きく張ったテントに気が付き、小さく悲鳴をあげる。
 和也は、その悲鳴に嬉しそうに笑みを浮かべる。
 奈菜は、また泣きたくなりそうなのを堪えて、ズボンを脱がしにかかる。
 「あの・・・腰をあげて。」
 ズボンが脱がせられないからと、奈菜が和也に頼むと、和也は素直にそれに応じた。
 行き成り腰を跳ね上げ、チャックが下ろされパンツ越しだったとはいえ大きくテントを張ったそれを、奈菜の眼前に突きつけた。
 「きゃっ!?」
 驚きと恐怖で、奈菜は後ろに仰向けに倒れ込んだ。
 「ほら、何やってるの・・・早く脱がしてよ。」
 「・・・は、はい・・・・・・」
 和也にせかされ、泣きそうになるのを堪えながら体を起こすと、出来るだけ見ないようにして、奈菜はズボンに手をかけ脱がしていく。
 そして、残ったのは、トランクス一枚。
 彼の体は、酷く醜かった。
 弛んだ脂肪の塊のような体、そして濃い体毛。
 それら全てが、奈菜を突き落とす。
 これから、これを相手にしなければならないのかと・・・
 だが、諦めも覚悟も、もうした後だ。
 意を決して、奈菜はトランクスを脱がしていく。
 凶悪な程に大きくなったそれは、思わず奈菜に息を飲み込ませた。
 出来るだけ見ないようにして、トランクスを脱がす。
 途中、腰を振られて和也のそれが、奈菜の頬を叩いた。
 「うっ・・・」
 くぐもった声で、奈菜は悲鳴をあげた。
 だが、和也は、その悲鳴には文句も言わず、行き成り膝を立てた。
 和也の膝が、奈菜の股間に直撃する。
 「え、あ、何・・・?」
 わけもわからず混乱する奈菜。
 「やっぱ、濡れるって程じゃないか。」
 「あ、あたりまえでしょっ!」
 こんな無理矢理やられて濡れてたら、自分は淫乱って事になってしまうじゃないかと、思わず声を荒げた。
 彼女は、クラスメートが話している事をたまたま昔耳にはさんだ程度だったが、濡れるとゆう行為が、男の行為に反応して感じているとゆうのを昔聞いた事があったのだ。
 「でも、湿ってはいるようだけど?」
 「・・・う、嘘っ!?」
 「嘘じゃないよ・・・ほら。」
 和也が、立てた膝を奈菜の股間にぐりぐりと突きつける。
 「あ・・・いや・・・」
 悲鳴・・・と言える程ではないが、奈菜が拒絶の声を出す。
 だが和也は、その声を無視して、それを続ける。
 すると、確かに和也の膝には、僅かに彼女の液が染み付いていた。
 それは濡れていると言った程ではないが、感じていないとは言いがたい物。
 「ち、違う・・・こんなの・・・あ、あたし、淫乱なんかじゃ・・・」
 奈菜は、拒絶するように頭を振る。
 「ああ、違う、違う。」
 しかし和也は、手を振って否定した。
 「誰だって、舌いれてキスしたりすれば、この程度にはなるって。口内は、性感帯の一つだからね。」
 「・・・ほんと?」
 「ホント、ホント、それに濡れるってのは人の生理的なものなんだから。本人が意図しない内に、体が反応するもんなんだよ。確かに、感情でそうなるってのもあるけど。」
 別に淫乱だからって思わせてもいいのだ・・・別にそこまで彼女を堕とすつもりは、和也にはない。
 どうせした後は、嫌悪感のある相手に抱かれたってだけで、酷く落ち込むのだ。
 それだけで、和也の気は十分晴れる。
 だったら、Hの時は気持ちよくこれからやっていきたい、互いに。
 自然な事だと思えば、彼女も少しずつ開放的になるかも・・・まぁ、その程度の考えだった。
 「自然な事・・・なの・・・?」
 「・・・ああ。」
 奈菜は、安心したのか、思わず体の力が抜け落ちて、和也の体の上に流れるように落ちる。

 胸の感触が、和也の胸板を刺激して、酷く気持ちがいい。
 和也のペニスは、重なっていた奈菜の股の間に吸い付かれるような形で起っている。
 彼女の柔らかい体の感触をいつまでも堪能したいとゆう気持ちもあるが、それ以上に次への欲求が高かった。
 これだけ刺激されれば、爆発寸前なのだ。
 「さて、そろそろ安心した所で、次に行こうか。」
 「・・・うん。」
 彼女は、まるで幼子のように頷く。
 「次は、僕のこれを舐めて、咥えるんだ。」
 「・・・嘘・・・だよね?」
 信じられない和也の言葉に、一時間を置いた後に、奈菜はそう聞き返した。
 「いいや、ホント。」
 奈菜は、和也の言葉に目を見開き、口元を抑えた。
 他人の性器を口に含むなど、正直信じられる事ではない。
 だが、和也はいつまでたっても、今の言葉を撤回させようとはしなかった。
 仕方なく、奈菜は体を起こして、和也のペニスの前に鎮座する。
 (どうしよう・・・)
 「まず、皮を剥くんだ・・・大丈夫、僕のは仮性包茎だから、すぐに剥けるよ。」
 意味は、わからなかったが・・・和也の命に従って、おずおずと手を伸ばした。
 「うっ」
 和也が、その感覚に思わず声をあげる。
 元々大きくなって、剥けかけていたそれは、奈菜が少し触れただけで、簡単に剥けてしまった。
 だが、奈菜はそれだけで恐ろしくなって手を放してしまう。
 (熱い・・・)
 まるで、火傷を負っているかのように、熱くて・・・奈菜の心に恐怖が首をもたげる。
 その様子を見た和也は。
 「じゃぁ、まず僕のを握って。ただし、爪は立てないように、優しく。」
 言われた通り、奈菜は和也のペニスを優しくゆっくりと右手で握る。
 和也からは、何もアクションを仕掛けてこないので、恐怖は少しずつ薄れていく。
 それが、奈菜の心に変化をもたらした。
 奈菜とて、年頃の女の子だ・・・こういった事にまったく興味がなかったわけではない。
 状況が状況だが、それでも好奇心はいつだってやってくるものだ。
 熱いそれを、彼女は凝視するかのように見つめ、顔を赤らめる。
 (これが、男の人の・・・)
 脈打つそれを、奈菜は赤らむ顔でじっと見つめた。
 和也は、何も言わず。奈菜もじっと見つめたまま動かなくなり、静止した時間が流れる。
 唯、時間が経つと、奈菜の気持ちの上で、平静さが蘇ってきた。
 すると、この異常な、自分が男の人の・・・アレ・・・を握ったままでいる、今の状態に驚愕し、情けなさが込み上げてくる。
 (これを、舐めるだなんて・・・)
 絶対に出来そうにない、だが和也もいつまで待ってくれるかわからない。
 いずれ待ちきれなくなって、無理矢理させられるかもしれない。
 自分からしなくてもいい分、気持ち的には楽かもしれないが・・・もしかしたら、凄く酷い事をさせられるかもしれない。
 それこそ、想像出来ないような事を・・・
 そう思うと、怖くて、そんな事望めない。
 「そ、それじゃ・・・行きます。」
 覚悟を決めて、奈菜は顔を近づけた。
 むっとした匂いが、奈菜の鼻につく。
 舐めるのは、まだ出来ない。
 その代わり、奈菜はキスをするかのように、和也のペニスに唇をつけた。
 嫌悪感が、増長する。
 「うぁっ・・・そこにキスかぁ・・・そうゆうのも、新鮮でいいなぁ。」
 商売女になら、何度か相手をして貰った事があるが・・・その時は、舐めたり咥えたりが中心だった。
 なんとなく、彼女の純粋性がはっきりと感じられて・・・和也は、病み付きになりそうな気がする。
 「ん・・・ん、ん・・・」
 奈菜は、ちょっとずつ、ペニスに唇を合わせてキスをする。
 少しばかり、先ほどよりも彼のペニスが大きくなってきているような気がした。
 和也の大きな手が、ペニスにキスを幾つも散らしている奈菜の頭を優しく撫でる。
 まるで、いい子だといわんばかりに。
 (あ・・・)
 髪を梳かされる感覚が、奈菜の体に刺激を送った。
 (これ・・・気持ちいい・・・?)
 一瞬、そんな思いが、奈菜の中に浮かびあがる。
 だが、それは、直ぐに打ち消した。
 (無理矢理なのに・・・気持ちいいだなんてっ・・・!?)
 おぞましさが、奈菜の体を襲った。
 「・・・どうかした?」
 急に動きが止まった事を訝しげみ、和也が奈菜に声を掛ける。
 「な、なんでもないっ。」
 苛立たしさを含ませた強い口調で、奈菜が和也に言い返した。
 しかし、言った後に後悔する。
 和也の気分を害したのではと。
 「そぉ。」
 だが、和也は、気にした様子もなく頷いた。
 その様子に安堵しながらも、自分がそろそろ次のステップに進まなければならない事を意識した。
 (これを・・・舐めるの・・・)
 一度、息を吸って・・・気持ちを落ち着かせる。
 (我慢するの・・・これで、みんな救われるんだから。)
 和也のペニスの根元を握り、先の部分をアイスキャンディを舐めるように一度舌を這わせた。
 「ふわぁっ」
 和也の体が、細かく揺れる。
 「凄い、気持ちいいよ・・・奈菜。」
 誉められても、あまり嬉しくはないが・・・気持ち良くないと言われるよりかは、いいのだろう。
 覚悟を決めて、再び舌を和也の先に這わせる。
 「よく、舐めておいた方がいいよ。一応、お風呂に入るたびに洗ってるけど・・・今回は、シャワー浴びなかったろ。トイレにだっていってるからね・・・」
 その言葉が、何を意味するか・・・それを理解して、奈菜の背に悪寒が走った。
 「言っておくけど、嫌がらせで言ってるんじゃないよ・・・汚いまま、君の中に入れたら・・・ばい菌が感染して、酷い事になるからね。だから、僕のソコを丹念に舐め上げた方がいい。特に雁・・・先の方のえらみたいな部分の影の所、その辺は特にね。」
 そんな言い方をされたら、しないわけにはいかない。
 奈菜は、全体にまんべんなく舌を這わせる。
 嫌悪感も悪寒も、既に奈菜を止めるだけの材料には、なり得ない所まで来ていた。
 なりふり構わず・・・そんな様子が見て取れる。
 「うっ・・・いいよ、そう・・・その雁の部分、男が感じる所の一つだから・・・覚えておきなよ。」
 正直、技巧的には物足りない・・・感じさせると言うよりかは、和也のペニスを洗っているとゆう感じである。
 まぁ、元々、あんな言い方をしたのも悪いのだろうが・・・
 しかし、それらを余り補って、学園のアイドル佐伯奈菜が懸命に自分のモノを舐めあげている姿は、どうしたって興奮させられる。
 和也は、思わず頭を抑えて、口の中に突っ込み、無理矢理腰を動かしそうになるのを、懸命に堪えなければならなかった。
 奈菜は、全ての部分を丹念に舐めた後、顔をあげた。
 (次は、咥えるのよね・・・)
 もう、ここまで来たら、後戻りする材料もない。
 再び、顔を和也のペニスへと近づけていく。
 その時、和也が急に声をかけた。
 「ああ、そう言えば・・・奈菜、濡れた?」
 「え、あ・・・な、何をっ!?」
 羞恥から、思わず荒げた声をあげる。
 「いや、真面目な話、濡れないまま入れると、とんでもない激痛が襲うらしいから。」
 和也は、まるでおばさんが雑話するかのように、言う。
 そして、それは・・・奈菜もかつて耳にした事があった。
 慌てて、自分の股間に手を伸ばした。
 和也からは、隠すように指で触って確かめる。
 少し、痺れるような感覚が走った。
 (・・・これで、濡れてるとゆうのかしら・・・)
 それは、濡れているとゆうよりかは・・・先ほど和也が言っていた、湿っているとゆう表現の方が近い気がする。
 「まぁ、まだ十分じゃないと思うんだったら、自分で触って気持ち良くなる事だね。」
 「っ・・・!・・・・・・・・・」
 一瞬、何かを言いかけるが、直ぐに口を噤む。
 あまり嬉しくない忠言ではあったが、確かにこのままじゃする事は出来ない。
 どうにか、和也から体で隠すようにして、自分の秘所を触り始めた。
 しかし、未経験のその行為は、中々容易に上手くはいかない。
 それに・・・
 「ほら、僕のをちゃんと咥えなきゃ。」
 和也がそんな事を言い始めた。
 「今日は、奈菜が僕を抱くんだから・・・僕を中心に気持ちよくさせてくれなきゃ駄目だろ?」
 「・・・はい。」
 奈菜は、不承不承頷くと、和也のペニスを咥える。
 散々キスをさせられ、舐めさせられ、もう所謂フェラチオ行為に対する躊躇はなくなっていた。
 だが、そこで少々不具合が生じる。
 和也が寝転がった状態で、奈菜が咥えると・・・片手で体を支えて、片手で自分を慰める事になる。
 だが、どうにもやり難い。
 「・・・んっと・・・ちょっとこっちに・・・」
 どうにか、体の向きや場所を変えてみるのだが、どうにもやり難い。
 「・・・・・・・・・これで、いいだろ。」
 和也は、しばらくしてから、体を起こしてベットに腰をかけるような体勢に変える。
 「・・・あ、成る程・・・・・・」
 一瞬、奈菜は感心したような声をだしてから、顔をしかめた。
 こんな事で、感心などしたくなかったと、言わんばかりに。
 それから、奈菜は和也の下にしゃがんでから、咥えようとして・・・ばつが悪そうに、和也の顔を見上げる。
 「えっと、出来れば寝転がってて、欲しいんだけど。」
 自慰行為や、咥えている姿を眺められっぱなしとゆうのは、正直あまり気持ちが良くない。
 「なんで?」
 にやにやとした笑みを浮かべて、和也がそう尋ねる。
 「なんでって・・・」
 一瞬、大きな声を出しそうになるが、抑える。
 「その・・・あ、あたしが抱くんだから、言う通りにしてくれないと・・・」
 自分でも、あまりに説得力がないなと、思わないでもなかったのだが・・・以外にも、和也は大人しく引いた。
 「ああ、確かに抱かれるんだから、抱く側の言う事を聞いておかないとな・・・うん、抱かれるんだからね。」
 あまり、抱く抱く言わないで欲しい・・・そう思うのだが、流石にそれは口にはしなかった。
 代わりに、彼がベットに倒れるように寝転がると、彼のペニスに舌を一度這わせてから、口に咥える。
 「・・・んふ・・・」
 同時に、自分の股間を触り始めた。
 軽く痺れる。
 次に、よく見た事はなかったが、自分の性器の割れ目にそって、指を這わせた。
 先ほどよりも、強い刺激。
 「んぁっ!」
 「っぐ!?」
 和也が、痛みを訴えるような悲鳴をあげた。
 「奈菜っ」
 「ごめんなさい・・・」
 「・・・次からは、歯を当てないように。」
 「・・・うん。」
 自慰行為による刺激で、思わず歯を立ててしまった。
 一応、詫びのつもりか・・・歯を立てた部分に舌をなぞり、再び咥える。
 そして、さっきの強い刺激を再現しようと、今度は注意しながら、同じ場所をなぞりあげる。
 「ふぁ・・・」
 (・・・凄い・・・あぅ、ジンジンする。)
 奈菜は、和也のペニスを咥えたまま、その行為に夢中になる。
 「僕のに、唾をいっぱいつけておいた方がいいよ。その方が、少しは痛みも減るだろうから。」
 ぼぅっとした奈菜は、和也に言われるままに、咥えたソレに唾をなすりつけるべく、舌を絡ませた。
 「んひゅ・・・んぁ・・・ん、んん・・・・・・・・・」
 口から漏れる水音と
 ちゅく、ちゅく、ちゅく・・・・・・・・・
 舌から奏でられる水音
 二つの音が、淫靡な二重奏となって、部屋の中に響き渡った。
 (うう、やだ・・・凄くエッチな音がする・・・)
 だが、そう思いつつも、指は止まらない。
 それに・・・これを咥えているのも、嫌じゃなくなってきている。
 飴玉をなめる子供のように、夢中で口内で和也のペニスに舌を絡めた。
 そのたびに、空気が漏れ、淫靡な音と共に、涎が流れ落ちる。
 (もう、やだ・・・やなのに、止まらないよ・・・いや、なんでっ!?)
 じゅく、じゅく、じゅく、じゅく・・・・・・・・・
 もう既に、奈菜の股間は十分に濡れていた。
 音質も、だんだん違うものへと変化してきている。
 (・・・そろそろかな)
 和也は、いつのまにか起き上がり、奈菜を上から見下ろしていた。
 「奈菜・・・」
 奈菜の髪を優しく梳かすと・・・和也は。
 「そろそろ、しようか。」
 「え・・・あ・・・はい。」
 何処か、濡れきった瞳で、呆然としながら奈菜は頷いた。

 先程までの興奮は、嘘のように消えていた。
 それでも、意を決して、横になった和也の太った体に跨り、彼のペニスを手に取る。
 ちゅく
 それを入り口にあてがった・・・それだけで、電流が体全体に流れたようなショックを受ける。
 (これを入れたら、一体どうなるの・・・)
 それは、恐怖と好奇心
 「さぁ・・・奈菜。」
 和也に促されて、ゆっくりと腰を落していく。
 「うぁ・・・あ、あ・・・・・・」
 入り口の辺りは、凄い感覚だった。
 まるで、全て溶かされてしまうような、そんな快感が奈菜の全身に走る。
 だが、そこまでだった。
 奈菜の処女膜を先端が近づいた所で、激痛が奈菜を襲った。
 「あぐっぅ!?」
 あまりの痛みに、思わず腰を浮かせた。
 和也のペニスは、丁度先程の入り口の辺りにまで戻される。
 (どうしても、しなければならないの・・・)
 それから、奈菜は和也の方へ顔を向ける。
 (しなきゃ・・・ここまで来たんだもの・・・やらなきゃ)
 妹の美奈の顔を、父親の顔を、死んだ母の顔を思いだす。
 (あたしにしか、守れないんだから・・・)
 もう一度、和也のペニスに手を添えなおすと・・・一気に腰を下ろした。
 ずぶぅっ!
 「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、いや、いやぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」
 初めて味わう痛み、全身が針で貫かれたような、そんな痛みが奈菜を襲った。
 背を仰け反り、大きな声で悲鳴をあげる。
 そうして、声が枯れるほど叫びつづけた後、力尽きたかのように・・・和也の体の上へと崩れ落ちた。
 「あ、あう・・・あ、あ・・・・・・うぁ・・・あっぁぁ・・・・・・」
 声にならない声で、奈菜は痛みを訴える。
 和也は、腰を動かさずにそのまま、奈菜の体を抱きしめた。
 「はぁ・・・あ・・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・・・・・」
 そうして、ようやく奈菜の方も痛みを堪え、息を整えた。
 「どう、女になった気分は?」
 頃合を見て、和也が話しかけてきた。
 「最低だよ・・・」
 痛みが、全ての決意を覆しそうになる。
 何より、好きでもない相手とこうなってしまった事が、奈菜の気持ちを暗くさせていた。
 「・・・なんで・・・・・・」
 あんたみたいなのに・・・と心の中で付け加える。
 「そう、邪険にしなくても、いいと思うけどなぁ。」
 和也は、奈菜のきつい程の締め付けにうっとりとしながら、そう言葉を漏らす。
 そんな和也に、奈菜は厳しい視線を投げかける。
 「だってさ、初めてで辛いと思うから、こんな事とか・・・」
 和也は、奈菜の体を抑えて、腰を動かす。
 「ひぃっ、ぎひぃっ・・・」
 和也のペニスが、奈菜の秘所を出たり入ったりする。
 その度に、焼け付くような痛みを奈菜に与えた。
 「ずっと、我慢してるんだから・・・ね。」
 和也は、途中で抽挿を止めると、ぐったりと自分の体の上で息づく奈菜の顔を覗き込んで、そう笑いかけた。
 奈菜は、唯頷くしかない。
 「はぁ・・・だけど嬉しいなぁ、奈菜の初めてを僕が貫けるなんて・・・感じてる?僕のが、君のアソコにぎゅうぎゅうに締め付けているのを、名器って奈菜みたいな人の事を言うのかな?」
 自分の股間を無理矢理押し広げていく感覚、和也のペニスの形の細部まで舌で記憶し、更に自分の体に埋め込まれて嫌でもその形を想像させられた。
 しかし、動かないでくれるのは、嬉しかった。
 先程動かれた時には、自分はこのまま股から引き裂かれてしまうのではないかと思う程だったからだ。
 「こうやって入れてるだけだと、段々慣れてきて、痛みが引いてくるだろ?」
 和也は、囁くようにそう話かける。
 奈菜は、素直に頷く。
 否定して、また動かされたくないからだ。
 「それって、僕のモノに、奈菜の体が段々対応できるようになってきているって事だよね。くくく、嬉しいなぁ・・・まるで、奈菜が僕だけのモノになっていくみたいで。」
 ぞっとした。
 (こいつのものになんて・・・)
 例え、体を奪われても・・・慣れたくなんて、ない。
 (ううん、体が例え慣れてしまったとしても・・・心だけは、絶対に譲らない。)
 歯をきつく噛み締めて、奈菜は、心の中でそう硬く誓う。
 反応のない奈菜に、面白くなさそうに鼻をならす和也。
 暇つぶしがてらに、奈菜の尻をぎゅっと握ってみた。
 「い、いやっ」
 お尻を揺らされる事による振動が、痛みを与え。
 同時に小さい快感を与えられた。
 「・・・握ると痛いのか、じゃこんな感じ?」
 思いのほか、楽しい反応をしてくれたのが嬉しくて・・・和也は、にやつく顔を隠さずに両手を奈菜のお尻に伸ばし始める。
 伸ばした両手を左右のお尻に這わせた、撫でるように静かに優しく・・・
 「うん・・・やぁ・・・・・・」
 ちりちりするような小さく痺れる官能。
 和也のちょっとした動きが振動になり痛みも与えるが、動いているわけではないのでそれ程でもない。
 いや、いまや与えられるこの感覚が、その痛みを凌駕して、奈菜を攻め立てる。
 「さらさらして、すべすべして・・・気持ちいいなぁ、奈菜のお尻。」
 「いやぁ・・・そんなこと、そんなこと言わないで・・・ぁあ・・・お願いぃん・・・」
 そして、微振動すらも、段々と気持ちよくなってきてしまう。
 それは、和也のペニスの大きさに、奈菜の睦が慣れてきた事を示し・・・女として、和也を受け入れようとしている事を奈菜に教えた。
 その事実が、奈菜を落胆させる。
 だが、和也は変わらず奈菜の尻に触れて、微細な快感を奈菜に与えつづけた。
 焦らすような感覚が、連続的に奈菜を襲う。
 「ん・・・ぁん・・・や・・・やなの・・・に・・・あ・・・ん、ああ・・・あん・・・あ・・・・・・・・・」
 「奈菜、感じてるんだ・・・淫らしいな、初めての癖に、こんなに声まであげちゃって・・・」
 奈菜の顔が、かぁっと真っ赤に染めあがる。
 「そろそろ・・・僕も、気持ち良くしてくれる。」
 その言葉に、現実を再認識させられるが・・・同時に好奇心も心の内に浮き上がってきた。
 すなわち、体に男のアレを入れられた状態で動かしてみたら、どうなるんだろう。
 幸い、傷みは最初に比べて小さくなってきている。
 そして、今では入れられているだけでも、気持ち良いのだ。
 「・・・うん。」
 だから、奈菜は思いのほか素直に頷いた。
 和也の無理矢理の命令が、奈菜の背中を押してくれる。
 「うん・・・あ・・・」
 奈菜は、静かに体を起こして、和也の胸に両手を置いた。
 むにゅっとした感触が、嫌悪感を起こすが、それほどは気にならない。
 それ以上に、これからどうなるか・・・そちらの方が、気になっている。
 「それじゃ・・・動かすよ・・・」
 ゆっくりと腰をあげて、下に降ろす。
 「ひぁ・・・」
 脳みそが痺れる。
 ぞくぞくとした快感が、体中を駆け巡ったのを奈菜は感じた。
 奈菜は、続けざまに断続的にゆらすようにして、体を動かし始める。
 「あん、あ、あ、んぁ、ああ、あん・・・・・・・・・」
 腰の動きが止まらない。
 奈菜は、禁じられた禁断の果実を頬張ってしまったかのように、陶酔した気持ちで腰を動かしつづける。
 (凄い、凄い、凄い・・・!)
 これほど激しく動かしているのだから、痛みも相当の筈なのに・・・痛みを越える快感が、奈菜の全身を攻め立てる。
 和也が起き上がり、奈菜の体を強く抱きしめた。
 「奈菜っ、いい、いいよっ!」
 「はぅっあ、あっ、あっんぁっ」
 奈菜の胸が、和也の胸にあたり、先端がすれるような刺激に見舞われる。
 それが気持ち良くて、奈菜は自ら体を擦り付けるようにして、動き始めた。
 そんな奈菜の唇を和也が貪るように喰らう。
 初めてされた時には、嫌悪感しか感じなかったその行為にも、奈菜は自ら進んで没頭した。
 舌が口の中に進入してくれば、進んで受け入れ、自らも舌を絡める。
 そうやって、自分の中の官能を奈菜は育て上げていく。
 ただ、本能が命ずるままに。
 「んく、ん、んぁ、ああ、んん、んあ、んっ」
 和也にしがみ付き、激しく腰を動かす。
 もう、自分が何をやっているのか、理解できない。
 ただ、この気持ち良さをもっと感じ取りたい。
 「奈菜、奈菜っ・・・凄い、いい、いいよ・・・もう、僕・・・くぅ・・・あ、あう・・・奈菜、奈菜っ!!」
 興奮した和也が、奈菜を押し倒して、自らも腰の抽挿を始めた。
 奈菜も合わせて、腰を動かす。
 二つの動きが重なり合い、新しい快感を生み出す。
 「いい、いいよぉっ」
 「奈菜、奈菜っ、駄目だ・・・もうっ!!」
 和也が、最後に大きく腰を打ち付けると、再奥を小突き、奥に向かって熱いモノを吐き出した。

 どくっ!

 和也は、背を反らして腰を奈菜に擦り付ける。
 少しでも多く、少しでも長く・・・この感覚を意地しようとして。
 「あ、あぁぁぁぁぁぁっ・・・・・・!?」
 奈菜も思わず背を反らして、叫び声をあげる。
 自分の中に、何か熱いモノが・・・知識として思い出した、男の人が気持ち良くなると放出する精液が、自分の中に放たれたのを知った。
 自分の子宮を小突かれた時、いいようのない感覚に埋め尽くされ、更に熱い液が自分の中を満たした時・・・今までで、最大級の快感が奈菜を襲った。
 次の瞬間、奈菜の頭の中は、真っ白に染め上げられた。
 何も考えられないまま、声をあげ、背を反らし、そのままベットの上にへたり込む。

 和也が体をどかす。
 ペニスは、ずるりと抜け落ち、次に熱い液が尻を伝いベットの上にと流れ落ちた。
 奈菜は、それでも動こうとはしない。
 何も考えられなかった。
 ただ、その瞳からも、熱い涙が流れ落ちていた。
 自らの意思からではなく、本能が自分が汚れた事を教えているかのように・・・

 「奈菜、奈菜・・・」
 しばらくして、和也が再び奈菜の体に手を這わせ始めた。
 だけど、奈菜は、何の反応も見せない。
 和也の手が奈菜の胸を揉みしだき、唇を吸われ、ペニスを腹に押し付けられても・・・その美しい顔には、何の嫌悪感も浮かんでいない。
 いや、それどころか・・・何の感情も浮かんではいない。

 茫然自失

 乙女の純潔を、散らす事を強要され。
 そして、最後には、自ら腰をふるような醜態。
 決定的なのは、汚されたとゆう認識。
 それらが、佐伯奈菜から考えることを止めさせていた。
 考える事は、あまりに辛いから。
 行為の後、奈菜をベットに寝かせ、和也もその横に寝転がっていた。
 肩肘をつき、奈菜の頬に舌を這わせ、キスをして、唇を吸う。
 ペニスは、勃起していたが、特に行為に及ぼうとは、思っていないらしい。
 お腹や腰のあたりに擦り付け、肩肘をついた反対側の手を奈菜の方へ伸ばして、体中をまさぐり乳房を揉みしだいている。
 何の反応も示さない奈菜、だが和也はその行為を止めようとはしない。
 気持ちよくなるためとゆうよりかは、暇を弄んでいるだけのようである。
 それとも、刻み付けているのかも知れない・・・自分の物だとゆう、証を。
 和也が、奈菜の股間を弄ると・・・どろりと、自身の精液が流れ出た。
 その流れ出る感触に、奈菜は初めて反応した。
 (・・・アイツの精液・・・こんなに、いっぱい入ってたんだ・・・こんなに・・・・・・)
 もう、悲しみも嫌悪感も全てが、遥か昔の事のように思える。
 今は、何も考えたくなかった。
 考えたくないのに・・・彼女の理性が、一つの危惧を伝える。
 (こんなに一杯・・・これじゃ、赤ちゃ・・・・・・)
 自分の体が震えているのがわかる。
 恐怖だ・・・この男の子を身篭るかも知れないとゆう・・・・・・
 「いや・・・いや・・・・・・」
 突然の呟きに、和也がいぶかしげる。
 「どうした?」
 その声で、奈菜は正気を取り戻した。
 「あ、あの・・・シャワー行って来ていい・・・?」
 そう言うのが、精一杯だった。
 唯、一刻も早く・・・自分の中から、少しでもこいつの精液を取り除きたくて。


 「くふっ・・・んく・・・んう・・・」
 奈菜は、自分の指を中に入れて、必死に和也の精液を掻き出し、シャワーで流し落す。
 まだ、貫かれたばかりの其処に指を奥まで入れるような行為は、激しい痛みを伴なったが・・・それでも、痛みより恐怖が先行して必死に指を動かし続ける。
 「やだ・・・まだ出るの・・・んふ・・・・・・」
 自然と涙が流れ落ちた。
 絶望も恐怖も悲しみも、これ以上なく味わった筈なのに・・・それでも、涙は枯れる事なく、流れる。
 そして、痛みに耐える声は・・・段々と喜悦の混じり合わさった物へと変化をしていく。
 その掻き出す行為は、痛みだけではなく・・・奈菜の体に喜びすらも与えようというのか。
 感じていく自分の体を呪う・・・これほどの行為をされた後だと言うのに、信じられない思い。
 感じるとゆうのは、自然な体の反応・・・自身の感情とは別の物だとゆう和也の言葉を思いだす。
 (これは、仕方のない事なんだから・・・こんな風に触れているから、反応しているだけ・・・・・・)
 「ん・・・んあっ・・・んん・・・ああ・・・・・・」
 必死に声を抑えて、その行為を続ける。
 しかし、声を抑えている筈なのに、風呂場では声が反響して、大きくなって聞こえる。
 (いやだ・・・もし、アイツに聞こえたら・・・・・・)
 自分の事をどう思うだろう。
 嫌がりながらも、腰を振り、その行為に没頭して、感じるような淫らしい女。
 ぞっとした。
 知られたら、絶対に生きていけない。
 知られたら・・・知ったら、あの男は、どんな言葉を投げかけるのか、何をされるのか・・・
 「あ、ああ・・・んぁ・・・あん・・・ああっ・・・・・・」
 声を抑えようとしているのに、いつの間にか声を抑えるのをやめていた。
 ただ、喘ぐ声が、反響して風呂場に響き渡る。
 シャワーが、自分の秘所を責める感覚と、指が出し入れされていく様は、奈菜の官能を高めていった。
 「ああっ!!」
 がくっと、頭を垂れて、激しく息をつく。
 和也にされた時程ではないが、少しの間だけ何も考えられない時間が続いた。
 「どう、自分の指でイッた感じは?」
 だけど、そんな奈菜を嘲笑するような感じで、奈菜の頭から和也の声が響いた。

 「えっ・・・あ・・・・・・」
 今更ではあったが、思わず両腕で体を隠して後ずさる奈菜。
 黒く長い髪は濡れていて、彼女の体に張り付き、艶かしさを演出している。
 和也は、気にせず奈菜に詰め寄った。
 和也のペニスが、奈菜の顔正面に来る。反らしても、頬を突き、その存在をアピールした。
 「すっごく、エッチだったよ、今の奈菜。おかげで・・・我慢が出来なくなったよ、僕。」
 「ち、違うのっ・・・・・・っえ!?」
 否定しようとする奈菜を無視して、和也は奈菜の両腕を取ると、一気に押し倒した。
 「こうゆうホテルって、便利だよなぁ・・・こんな所でも出来るように、こんなに柔らかいマットを敷いていてくれるんだもん。」
 無理矢理キスをして、奈菜のおっぱいを舐め回す。
 「何もしない内から、こんなに乳首が立ってて・・・」
 優しく、奈菜の乳首を噛み締める。
 「んあっ!」
 思わず、大きな声をだす奈菜。
 「お願い、もう今日は止めて・・・これ以上は、辛いの・・・・・・」
 「そう思って、二ラウンド目に突入するのを止めてたんだけど・・・でも、こんな事して準備まで整えてくれてたんなら、話は別だよ。まだまだ、したりないからね。」
 そう言って、和也は腕を抑えたまま、奈菜の秘所に舌を伸ばした。
 「ひあっ!?いや、やめてっ、そんな所を舐めたりしないでっ!!」
 「僕だって、さっき舐めて貰ってたじゃないか・・・これは、そのお返し。」
 「いい、そんなのいいのっ、あっああ、もうやめてぇ・・・」
 一通り、和也は奈菜の秘所を舐めた後、顔をあげた。
 「はあ、はぁ・・・はぁ・・・・・・」
 激しく息をつく、奈菜。
 「さて、そろそろ入れようか・・・」
 和也が、そう宣言して、自分のペニスを手に取り、奈菜の秘所に沈めようと入り口に合わせた。
 ちゅく・・・
 「ま、まって!」
 もう少しで・・・そんな所で、奈菜が和也のペニスを握って、侵入を拒む。
 「・・・約束、覚えてる?」
 少しだけ、怒ったような声。
 「ち、違うの・・・」
 その声に、奈菜は縮こまりながらも・・・それを拒んだ。
 「す、するのはいいの・・・でも、お願い避妊だけは・・・」
 してと、奈菜が懇願する。
 「ああ、そうゆう事。」
 少し納得したような和也の声、その声音に奈菜も表情を和らげる。
 (わかってくれたの・・・?)
 和也の顔に笑みが浮かんだ。
 「そっかそっか・・・」
 ずぶぶっ・・・
 一気に和也のペニスが奈菜の最奥まで沈まる。
 「っうく、あっああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 突然貫かれ、まだ破膜して間もない奈菜の膣が悲鳴をあげた。
 「いやぁっ、いやっ・・・いやぁぁっ!」
 突然の事に、思わず悲鳴をあげる奈菜。

 ぐじゅ、ぐじゅじゅっ・・・ぐぢゅ・・・

 だが、奈菜の意思に反して淫靡な音が浴室に響きわたる。
 先程の行為で残った精液が、処女を失ったばかりの奈菜の膣の中で潤滑剤として作用しているのだ。
 「はは、凄くえっちな音が聞こえるよ、奈菜。」
 和也のその言葉に、思わず涙目になりながら奈菜は顔を逸らせた。
 「体は正直だな・・・僕のをこんなにも喜んで迎え入れてる。」
 和也が腰を動かすたびに、体は跳ね、秘所が縮小ををして中に侵入してきた異物を締め付けていく。
 気持ちが、心がそれを否定しているというのに・・・体が和也を迎え入れているという事態に、奈菜の心が再び暗澹としていく。
 その時、和也が体を離した。
 同時に和也のペニスが、奈菜の中から抜け落ちていく。
 「あぁっ・・・」
 行為の終わりに、思わず奈菜の喉から安堵と何かの喪失感をあわせたようなモノが漏れ出る。
 奈菜の瞳が、そっと和也の顔を見た。
 「・・・終わった・・・の?」
 「いいや、まださ。」
 和也の手が、再び奈菜の体を襲った。
 へたり込んだままだった奈菜の体を引き上げ、立たせると・・・その柔らかく、美しい体を抱きしめ、キスをする。
 「んんっ、んむ・・・ん・・・」
 奈菜は、和也の行為に抵抗する事もなく・・・されるがままに、唇を吸われていた。
 シャワーが、二人の体を水で打つ。
 抱きしめていた和也の手が、奈菜の尻肉を掴み、胸を揉みはじめる。
 唇を吸ったまま行われたその行為は、奈菜の感応を重層的に高めていく。
 和也のペニスが、奈菜のお腹を押し上げている。
 すると、和也の唇が、奈菜から離れた。
 「奈菜・・・奈菜は、まだ僕のモノになるつもりはないんだ。」
 「そんなこと・・・ない、もう・・・貴方のモノになるしかないもの・・・」
 和也の囁きに、奈菜がそう答える。
 もう、汚された自分には、こうする道以外ないとでも言うように。
 「そうかな?でも、もし本当にそう思っているんだったら・・・キスをしたら舌を絡め返すだろうし、挿入されたら腰を動かすなり抱きつくなりするよね?」
 「・・・そん・・な・・・・・・」
 そんな恥ずかしい事、自分が求めてやまないような意思表示など・・・出来るわけがない。奈菜が、愕然とそう思っていると。
 「っま、しょうがないよね。それならそれで・・・そう思うようになるまで、僕は僕で楽しませてもらうよ。」
 和也は、そう言うと・・・奈菜の体を浴槽に向かって突き飛ばした。
 バシャァンとゆう派手な水音と共に、奈菜の体が浴槽へと沈む。
 「きゃぁっ!?」
 奈菜は浴室の壁に手をつき、どうにか立ち上がろうとすると・・・そこへ、和也が続いて浴槽へと入ってきた。
 「・・・え?」
 和也は奈菜の体を後ろから抱きしめ、拘束する。
 「っや、あ、な、何!?」
 「奈菜、両手で壁に手をつくんだ。」
 「ちょ・・・一体何・・・・・・んんっあぁっ!!」
 奈菜が何かを考える間もなく、和也のペニスが後ろから奈菜の秘所を不安定な体勢で貫いた。
 「っぐ、あっ・・・うう。」
 悲鳴こそあげてはいるが、その声には何処か喜悦が混じっている。
 痛みもあるのだが、先程された時とは違う場所を刺激され・・・快感がダイレクトに奈菜へと与えられてしまう。
 自然と奈菜は、不安定な姿勢を正そうと・・・・壁に手をつき、お尻を突き出すような格好へと変わっていった。
 「はぁ・・・はぁ・・・奈菜、奈菜・・・」
 和也は、腰を押し付けるようにして、ぐりぐりと体を奈菜に擦りつけていた。
 腰を打ち付けなくとも、奈菜の中は、それだけで十分気持ちが良いのだ。
 和也は、夢中になって奈菜に体を擦り付ける。
 「うん、あっ、あっ、ああっ・・・」
 奈菜の唇からは、自然とそんな喘ぎ声が漏れ始める。
 耐えようとしているのに、心が気持ちが快感にへし曲げられて、どうにかなってしまいそうな感覚・・・もう、何も奈菜には考えられない。
 奈菜の腰が、いつの間にか少しづつ動き始めていた。
 和也もそれに合わせて、腰を動かし始める。
 ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ・・・と、二人のリズムに合わせて、淫靡な音が反響する。
 「あん、ああっ、あ、ああ・・・いい、いいよぉ・・・」
 頭がぼやけて、周りを意識できなくなった奈菜は、うわ言のように、喘ぎ声をあげる。
 もう既に、自分が何を言っていたかなど、認識していないだろう。
 「なんだ・・・奈菜は、バックが好きなんだな・・・・・・こんなにしてっ!」
 和也の手が乳房を包み、その指先が乳首を強く挟む。
 「っひ、や、あぁっああぁぁぁぁぁっ!!」
 突然の強い刺激に、奈菜は髪を振り乱し、声をあげる。
 パンパンパン・・・・
 柔らかい肉を打つ音が、浴室に響き渡る。
 和也の腰を動かすスピードが増し、奈菜の秘所より肉棒が出入りを激しくする。
 「ひぃんっ、あ、あん、あん、あんっぁ、あ、あぁ、ああぁぁっ。」
 もう奈菜の声には、快感を抑えようだの、我慢しようだのといった雰囲気は見当たらない。
 唯々、与えられた快楽を享受しようとしているかのように、奈菜は喘ぎ声をあげる。
 そんな奈菜の様子に、和也も我知らず、彼女をもっと気持ち良くさせたいとの思いが彼の中で生まれつつあった。
 歪もうとも、愛しい彼女のために・・・和也の動きは、自然と早くなっていく。
 そして、墜に限界が訪れた。
 「奈菜っ、奈菜っ、いいか、いくぞっ、いくぞっ!!」
 「あ、あ、あ、あっ、駄目、駄目なのっ、もう、もうっ!!」
 最後に、思いっきり腰を引いたかと思ったら、一気に奈菜の秘所へと叩きつけた。
 「あっ・・・あぁぁぁぁっ・・・!!」
 どくどくどく・・・
 中で、何かが弾けたのを意識した。
 「あ・・・はぁ、はぁ・・・・・・んあっ・・・」
 和也が、自分のペニスを引き抜くと、それで感じたのか・・・奈菜が、赤い顔で声をあげた。
 和也は、今だ寝たままの奈菜の顔の辺りに移動すると、奈菜に向かって自分のペニスを突き出す。
 「奈菜、後始末だ。」
 頭を撫でてから、後頭部を持ち上げ、自分のモノに近づける。
 奈菜は、黙って従い、そのまま和也のペニスを咥え込んだ。
 同時に、奈菜の瞳から涙が零れ落ちる。
 「ん・・・ん・・・んん・・・」
 その姿は、あまりに扇情的で・・・再び、自身の物が熱くなるのを、和也は感じていた。


 一度家に戻り、必要最低限の物を確保すると・・・奈菜は、和也に彼の家へと連れていかれた。
 これからは、そこが彼女の家となるのだ。
 「まだ必要なものがあるなら、明日にでも引き上げて置いた方がいい。あの家は、抵当に入っているようだからね。」
 「・・・ん・・・・・・はい。」
 和也は、運転手の目を気に求めず、自分の太ももに触れてくる。
 その行為に顔を赤くしながらも、奈菜はあげそうになる声を必死におさえて返事をした。
 「すべすべして、気持ちいいね。」
 「・・・・・・・・・」
 その声には答えず、奈菜は顔を外側へ反らした。
 そんな奈菜に、和也が耳元で囁く。
 「カーセックス、したい?」
 スカートの中に手を伸ばし、パンツ越しに奈菜の股間をさすった。
 必死で、哀願するような表情で、顔を横に振る奈菜。
 「大丈夫、冗談だよ。」
 そう言って、和也は奈菜にキスをした。
 黙って受け入れる、奈菜。
 その瞳から、涙が流れた。

 改めて認識した・・・自分は、この男の玩具なのだと。


 高層マンションの最上階の一室・・・それこそ、フロア全てを使用しているような広さを持つその部屋の表札には、確かに結城とあった。
 「おねぇーちゃんっ!!」
 ドアを開けると、奈菜の妹の美奈が、リビングの方から走り寄ってくる。
 「美奈っ・・・どうしたの、そんなに泣いちゃって。」
 奈菜は、美奈の涙を拭い、微笑みかける。
 「だって、だって・・・」
 美奈は、奈菜に抱きつき離れようとしない。
 奈菜は、美奈がどうしようもなく愛しくなり、そっと頭を撫でて気を落ち着けさせる。
 そして、彼女の中に『この子だけは、守ってあげないと・・・』そんな母性のようなモノが生まれたのも確かだ。
 (玩具でも何でも構わない・・・この子を守る事が出来るなら、どんな事にだって耐えられるから。)
 奈菜は、決意にも似た気持ちで、美奈を抱きしめた。



 あれは、尾羽根を切り裂かれ、飛べなくなった哀れな小鳥

 弄ぶかのように、愛しむかのように、大事に大事に小鳥を籠の中へと閉じ込める

 彼女は、飛べなくなった哀れな小鳥

 弄ばれ、愛され、それでも彼女は飛べなくなった羽根を羽ばたかせる。

 いつか、自分の代わりに羽ばたく者へと夢を託して・・・


 END 




あとがき
 以前、連載用として掲載していたものを読みきりに直してみました。
 たぶん、あまり変わった感はないと思います。
 実は、これの前に・・・和也の一人称で書き直してみたものの、文章の雰囲気ががらりと変わってしまったり、書きにくかったり(これ、大きい)、あまり面白くなかったりと・・・結構辛い結果に終わったので、再び三人称の前半までは同じの、お風呂編くらいからちょこちょこっと書き直して掲載しました。

 ・・・作業的には、結構辛かったです。

 多分、Lは創造作業は好きだけれど、いろんな箇所を修復したりって作業が苦手・・・とゆうか嫌いなんだと思います。(それが、趣味の範疇の事なら、尚更です。)
 おかげで、結構時間かかりました。
 Lの目算じゃ、ほんの1,2時間もかければ出来上がりのはずだったのですが・・・

 ほんと、疲れた。


 とにかく・・・
 今回は、この未熟な作品を読んで頂き、ありがとうございました。

2003/2/3


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