私の彼氏は、おじさん!?

 飲みすぎた・・・そう自覚するのは、おそろしく遅かった。
 気が付いたのは、終電が出る直前のことで・・・吐き気を催す胃を魂で押さえ込み駅に向かってダッシュする。
 一緒に飲んでいた友達は、周囲にいなく・・・一緒に飲んでいた女の子をお持ち帰りしたか、それとも先に帰ったか、それともまだ飲んでいるのか・・・
そのどちらにしても、俺を捨ててどこかで楽しくやっている事だろう(と思う)。
 どこにいったか、確認しようとは思わなかった。
 確認なんぞしてたら、電車は出てしまうし、そこまで冷静に今の状況を図れるほどまともな状態でもない。
 とにかくダッシュで駅のホームに突っ込む

 そして・・・


 勿論、間に合わなかった。
 よく考えてみれば、気がついたときに直前ならば・・・物理的に間に合う筈もない。
 胃液までぶちまけ、手の甲でぐいっと口元を拭く。
 こうなれば、タクシーにでも乗ってかえるしかない。
 一応、財布の中身を確かめたが・・・そう、それほどへってはいない。
 「なんとか大丈夫か・・・」
 仕方なしに、俺は改札口まで戻ろうと視線をあげる。

 そこに彼女がいた。
 これから、物語を一緒に紡いでいく彼女が・・・


 第1話

 視線をあげた先に、白いサマーセーターを着た大学生くらいの女性を見つけた。
 えらく酔ったあげくホームのベンチに座り込んでしまったようだ。
 普段なら女性とはいえ、酔っ払いは放っておくのだが・・・視線をあげたときに目が合ってしまったのと、えらく可愛い容姿をしていたので思わず声を
かけてしまった。
 「あのぉ、大丈夫ですか?」
 「あ・・・・うん、ダイジョブ、ダイジョーブだよ・・・・・・」
 つらつらと視線を彷徨わせながら、あまり大丈夫じゃなさそうに答える彼女。
 立ち上がり、大丈夫だと納得させよゆうと俺に近づこうとするが・・・
 「きゃぁっ!?」
 「おっと・・・ほんとに大丈夫か?」
 見事な千鳥足で、俺の心配をあおってくれた。
 「うん、うん・・・だいじょうぶー、だいじょうぶだよー・・・・・・」
 「知り合いは?一人?それとも、飲み物でも探しにいってるの?終電なくなっちゃったけど大丈夫?」
 と尋ねるのだが、彼女は不明慮な口調で説明しようとしてくれているのだが・・・所詮酔っ払いの戯言、理解はできなかった。
 「まいったな・・・」
 一度、周りをよく見回してみたのだが、知り合いらしき影は見当たらない。
 「しょうがない・・・歩けるか?」
 「・・・うん・・・アルケルー」
 幼子のような答え方で俺の腕を抱えるようにして掴まる。
 それは、歩けないと言うのではないだろうか。

 取りあえず、駅員に届けよう。落し物ではないが・・・まぁ、似たようなものだろう。そんな事を考え、あぶなっかしい彼女を支えつつ、俺は改札口を
目指した。
 彼女が強く、まるで見捨てられるのを恐れるかのように強く俺の腕を自らの胸に抱く。
 その姿に、少し苦笑して・・・大丈夫だよと空いている手で彼女の頭を軽く撫でてやる。
 そうしないと、今にも泣き出しそうな・・・そんな気がしたからだ。
 すると、少し安心したかのように腕の拘束が弱まった。
 そうこうするうちに、改札口へと着く。
 俺は彼女を連れて駅員の下にいくと・・・偉く派手な騒ぎになっていた。
 別段、俺が関わっていたわけではない。
 どこかの酔っ払いが喚き散らし、駅員が総出で宥めているのである。
 「あのーすみません・・・」
 「なんだい、今ちょっと手が離せないんだが!」
 いぁ、それは見ればわかるんだが・・・
 「あーこっちも酔っ払いで・・・彼女、前後不覚の状態になってるみたいで・・・・・・」
 そう言って、俺は彼女を差し出す。
 「んー・・・」
 一度、彼女を凝視してから駅員が俺を睨む・・・はい?
 「君は知り合いじゃないのかね?ずっと君の腕を掴んでいるようだが?」
 「いや、それがどうもわかってないみたいで・・・誰かと間違えているのかも?」
 「マチガエテナーイーー・・・ヒロ君は、わたしが彼女だもんー」
 えらく陽気にそう言って、彼女は俺にしがみ付く。
 「あのな、こっちは忙しいんだ。酔っ払いが面倒になったからって、他人に押し付けるのはやめなさい・・・あー、そこそこ、待ちなさい。」
 駅員は、話しを適当に切り上げると、次の酔っ払いへと応対を切り替える。
 俺は、駅員に向かって伸ばした腕を硬直させたまま固まってしまった。

 うつらうつらと寝始めた彼女を見捨てるわけにもいかず・・・俺は溜息を一つついて、彼女を抱えてタクシーへと乗り込んだ。
 「あー、悪いけど○○市の方に向かってくれ。」
 そう言って、眠りこける彼女を尻目に手荷物を探らせて貰う。
 小さなバックの口を開け、中に入っているものを取り出す。
 しかし、彼女の家を教えてくれるものは何も無かった。あれば、タクシーの運転手にそこまで届けさせようとおもったのだが・・・
 唯一つ、財布の中に入っていたレンタルビデオの会員証を覗いて。
 カードの裏を見て、名前を確認する。
 「・・・秋本沙耶華・・・・・・か。」

 タクシーの中では何事もなく、家に到着する。
 家といっても、唯の安アパートだが・・・
 完全に眠りこけてしまった彼女を抱え、俺は自分の部屋へと戻り・・・ベットの上に彼女を放り投げた。
 「さてと・・・どうするかなぁ。」
 蛇口を捻り、コップの中に水を注ぎ、それを一気に飲み干す。
 「・・・ん・・・・・・」
 彼女が寝苦しそうにベットの上で寝返りうった。
 あのまま駅に放っておく事も出来ず(駅員に睨まれてしまったため・・・)、家にまで連れてきてしまったが・・・ここに来て、自分がとんでもない事をして
しまった事にようやく気付いてしまった。
 これは、いわゆる酔った彼女をお持ち帰り・・・って奴ではないだろうか。
 そして、前後不覚の彼女を無理矢理・・・まぁ、襲ってはいないので、未遂にはなるだろうが・・・
 そんな事を考え、思わず溜息をつく。
 「どすっかなぁ。」
 とりあえず起きたら、彼女がどれだけ迷惑をかけ、ありとあらゆるイレギュラーのせいで家に連れ込まなければならなくなった・・・とか言うしかないか
ななどと考えていたら、突如彼女が起き上がった。
 「どわっ!?」
 「んー・・・あれ・・・ここ・・・・・・・・・どこ?」
 俺の家だ。
 「あなた・・・だれ?」
 まだ意識がはっきりしていないのだろう・・・よくわかっていない様子で首を幼子のように可愛らしく傾げる。
 「・・・・・・・・・・・」
 しかし俺は彼女の視線から顔を逸らす事も出来ず、硬直したまま動きを止めてしまう。
 そして・・・
 「いやぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」
 彼女の叫び声がアパート中に響きわったった。
 「犯される、いやぁぁぁっ、お母さーーーーん!!」
 「ば、ばかっ、違う、そんなんじゃない!!」
 彼女の上にかけてやったシーツを引っつかみ、自分の体を隠して(服きたままなのだが、きっと脱がされているとか思ったのかもしれない・・・)とにか
く叫びまくる。
 「違うっていってるだろぉぉっー!!」
 ついでに俺の声も木霊しまくった。

 「すみません、すみません・・・」
 何事かとやってきた近所の住人に俺はただ頭を低頭させて平謝りする。
 「ほんとうにお騒がせして・・・もうしわけありませんでした。」
 「まったく、これっきりにしてくださいよっ。」
 すみません、すみませんと俺はただ謝るのみ。
 ぱたん・・・とドアを閉じると、部屋の奥には申し訳なさそうに正座をしている彼女がいた。
 「・・・ごめんなさい、勘違いしちゃって。」
 「・・・」
 何とも言えず、俺は無視する形になる。
 すると彼女の瞳が潤んできて・・・折れた。
 「あぁ、泣かないでくれよ・・・とに。」
 俺は後頭部をかいてから、大きく息を吐く。
 「女に泣かれるのは、苦手なんだ・・・頼む。」
 昔、泣かれまくって、少しトラウマ気味になっているのは言えない秘密だ。
 俺は冷蔵庫から麦茶をとりだし、コップを二つならべて注ぐ。
 「たいしたもんがないんで、この辺で我慢してくれ。」
 「あ、はい・・・あ、ありがとう。」
 こくこくと素直に飲む彼女。
 「酔いは醒めた?」
 先ほどの騒ぎで、彼女の酔いは完全に醒めたようだ。
 「御迷惑おかけしました・・・。」
 少し顔を赤くして、彼女はそう言って頭を下げる。
 「ほんとは駅員か警官にでも預けようかと思ったんだけどな・・・俺の事を君が彼氏か何かと間違えてたみたいでな。酔っ払い押し付けようとしてい
る風に見えたらしい。」
 ますます彼女の顔が赤くなる。
 「それは・・・」
 「悪いとは思ったが手荷物を探らせてもらって、免許書みたいなのを見つけて、そこの住所までタクシーに送らせようとも思ったんだが・・・生憎、
君はもってなかったみたいでね。それで、しょうがないから、俺の家に連れ込んじまったってわけだ。」
 「・・・お手数おかけしました。」
 なんとなく沈黙が続く。
 「あの、それじゃ私そろそろ・・・」
 そう言って立ち上がろうとする彼女を俺は押し留めた。
 「そうは言っても、もう終電もない。それに、この辺は住宅地だから朝まで時間を潰す場所もないんだ。」
 「あ・・・」
 どうしよう、そんな言葉が彼女の顔に出る。
 「朝まで家にいてもいいぞ。」
 ここまで関わってしまったのだ、こうなったらそれくらいの面倒はみようと思い彼女にそう提案するが・・・
 「え、いえ、その・・・そこまでして貰うわけにも・・・」
 そう答える彼女の警戒する表情を見て、俺は苦笑する。
 「ああ、そうゆう事か・・・安心しろ・・・って言っても信じられないだろうけど。襲う気があったのなら、とっくの昔に襲ってる。」
 「そ、そうゆう事じゃ・・・・・」
 それでも、俺のその言葉で多少警戒は緩んだのか・・・結局立ち上がるのをやめて、座りなおす。
 「そうだな、知らない男の言葉じゃ信じられないだろうな。」
 「そ、そんな事ありませんっ」
 俺が少し暗い調子で言うと、彼女が慌ててそれを否定する。
 その様子に俺が小さく笑うと、彼女はからかわれたと思ったのか、子供のように頬を膨らませた。
 「・・・からかいましたね、ヒドイ。」
 「くくく、悪い・・・まぁ、俺の前じゃ安心して寝られないってのは、ホントの所だろうし。しゃぁないから、朝まで飲んで暇でもつぶすか?」
 俺は、そう言って立ち上がると・・・彼女の前に日本酒とツマミをいくつか持ち出した。

 「君は飲めるほうなの?」
 「ん・・・よくわかんない、今日初めて飲んだし。」
 「初めてで、意識ぶっとぶ程飲むなよ。」
 俺が呆れている傍ら、彼女はコップにそそいだ日本酒をくんくんと鼻で嗅ぐ。
 「変なもんは入ってないぞ。」
 「わ、わかってます!」
 ・・・この子、からかうと面白いかもしれない。
 「そうゆう意地悪な事ばかり言うと、若い子に持てませんよ。」
 「若い子って・・・おじさん扱いかよ。」
 ふふと笑い、彼女はちょっとだけコップに口をつける。
 「あ、今日飲んだのより美味しいかも・・・」
 そんな呟きを漏らした。


 この娘には、二度と飲まさん。
 俺は、固くそう誓う。
 「聞いてますかー、おじさんっ」
 「ああ、聞いてるよ、聞いてる。」
 「彼って、とっても移り気な人でさ、すぐに流行とかに踊らされてあたしにそれを強要するのよ。」
 何度目かになる、彼女の愚痴。
 「でもね、それであたしの事を好きでいてくれるなら・・・それでもよかったの。・・・あたしだって、かわいいカッコするのは嫌いじゃなかったしね。た
だ、人形か何かみたいに扱われるのは、好きじゃなかったかな。」
 「そか。」
 「都合のいい女、それが周りの人間からあたしに与えられたあたしのレッテル。都合のいい女・・・あたし自身それがわかっていたし、それを許容し
てたし、それで恋がかなうならって、ずっと思ってた・・・」
 ダンとコップを机の上に叩きつける。
 「でも、でもっ・・・酷いのよ、ずっとふたまたしてたって。あたしともう一人の彼女と・・・ねぇっ、何で男の子ってそんな事できるの!?」
 そりゃ、そいつが本能に忠実だからだろと・・・言いそうになるのを堪える。
 また幾度目かの愚痴のサイクルがまわろうとしたとき、俺は多分言ってはいけないことを言ってしまった。
 彼女がこんなにも自分の感情を吐露して愚痴をぶつけているのは、俺の事を名も知らない赤の他人だからだ。多分、少しでも知り合っていた人間
なら、酒の力があったとはいえこんなこと愚痴れなかっただろう。
 「そいつがヒロってやつか?」
 コップの中の液体を僅かに喉に流し込んで、俺がそう呟く。
 その時、彼女の表情が固まった。
 愚痴を悔しそうに、怒って・・・でも楽しそうに話していた彼女の表情が凍る。
 「どうして・・・彼の名前・・・・・・」
 「あ、いや・・・」
 二人の間で、名前を言い合わずにいたのは・・・今夜限りの付き合いだから。そんな暗黙の了解が俺と彼女の間にあったのは確かだ。
 だからこそ、バーのマスターに愚痴るかのように俺に話し続けていることもできたのだ。
 だが、そこに物語を物語でなくしてしまう言葉を投げてしまった俺。
 後悔が胸を締め付ける。
 「・・・すまない、その酔ってる時に、そいつと俺を間違えていたようで・・・・・・」
 俺の言葉も彼女の顔をあげるのには、役立たずだったようだ。
 長い沈黙が、俺の部屋を支配する。
 やがて、ぽつりぽつりと彼女は自分にあった事を話しだす。
 「問い詰めたらね、ヒロ君・・・あたしは、ただのおかざりだって。ちょっと見てくれいいから、自分のステータス高めるためのアイテムだって・・・。街を
歩く時、連れて歩くと気持ちよかったんだって・・・でも、話してても詰まんないって、ウザイって言われて・・・」
 ぽろぽろと涙を零しながら、彼女が俺に告白する。
 「そんなのずっとわかってたもんっ・・・ほんとは、あたしのこと好きなんじゃないなんてこと。でも、あたし我慢してれば、いつか好きに・・・好きになっ
てくれるかもって・・・・・・うっ・・・・・・」
 俺は、彼女の隣に腰を下ろして、そっと抱き締める。
 「わりぃ・・・泣かせちまった。」
 「ほんとは、我慢なんてしたくなかったよっ。カッコなんかじゃなくて、あたし自身をずっと見て欲しかったのにっ」
 俺の胸の中で泣く彼女。
 くそ、どこの馬鹿だ・・・こんな良い子を泣かせるなんて・・・・・
 俺は、見も知らぬヒロとかいう男にホンキで切れ掛かった。
 そして、同時に・・・彼女から言い知れない何かを感じる。
 それが俺を突き動かした。
 「・・・忘れちまえよ。」
 彼女の頭を胸に抱え、俺は思わず彼女にそう囁く。
 「そんな馬鹿の事なんて、忘れちまえよっ。」
 俺の胸の下から、顔をあげる。
 とても綺麗で可愛い女の面だ。
 「沙耶華・・・忘れさせてやる。」
 俺は、彼女が何かを言う前に彼女の唇を塞いだ。

 「ん、んんぅ〜・・・・・・」
 そして、そのままベットの上へと押し倒す。
 彼女の黒く長い髪がベットの上に広がった。
 唇を離し、そのまま沙耶華の顔を見る。
 彼女の顔は真っ赤に染まり、もしかしたら今の状況を理解できていないかもしれない。
 ただ、その瞳から涙は完全に乾いていた。
 「え・・・」
 俺は、彼女の疑問には答えずにもう一度キスをした。
 こんどはただ唇を塞ぐだけじゃない、舌で彼女の唇を割り、彼女の中へと侵入させる。
 「むぅ、んんっ・・・あぁっ・・・・・・」
 涎を啜り、舌を動かし、沙耶華の口内を犯す。
 「はぁはぁはぁ・・・・・・」
 そうして沙耶華の顔から再び顔を放したとき、俺と彼女は荒い息を吐くことしかできないほどに興奮してしまっていた。
 「・・・どう・・して、同情?」
 それでもしばらくして冷静になったのか、それでもおれが狼になったとは考えなかったのか、そんな言葉を呟く。
 「それがないとは言わないが・・・それだけじゃない、その・・・・・」
 この先の言葉を言うのは、何とゆうか、やけに気恥ずかしかった。
 「・・・あーっ、その可愛いと思っちまったんだよ、泣いてるお前を見て・・・ほっとけないつーか・・・その―」
 まるで、十代の頃に戻っちまったかのように体が、顔が熱い。
 誤魔化すように、俺は軽く彼女の唇にキスをする。
 「・・・いじらしい娘が、好みなんだよ。」
 呆然とする彼女。
 そして・・・
 「えっと・・・一目ぼれってこと?」
 思わず俺の体から、力が抜ける。
 がくりと彼女の上に体が落ちる。
 「あ、あのなぁ・・・」
 呆然とした表情から、くすりと年下の少年を相手にするような笑みを浮かべて。
 「・・・そっか。」
 「そこ、勝手に変な解釈するな。」
 俺は、憮然とした声音を隠そうともせずに彼女に囁く。
 沙耶華は、一寸瞳を閉じてから・・・何か吹っ切れたかのような笑みを零して。
 「いいよ・・・Hしよ。」
 それから、電気を消してと言われ・・・俺は、言われるがままに部屋の電気を消す。
 俺の背で、ぱさりと布ずれする音がした。
 振り向くと、暗闇でよくはみえなかったが・・・沙耶華がベットの上に横たわっていた。
 「・・・優しくしてね。」
 「ああ。」
 と短く相槌だけ打って答える。
 シャツを脱ぎ、横たわる彼女の側へと近づく。
 彼女は、服を何処かに脱ぎ捨て、裸になっていた。
 「・・・その、皺になっちゃうといけないし。」
 俺の視線に気付いたのか、恥ずかしそうに胸元をかくし、足を硬く閉じる。
 「大丈夫、見えやしないよ。」
 俺はそう言って、彼女の上にのしかかった。
 手探りで、乳房を探り当ててさわると・・・柔らかな感触の上に、布の手触りがあった。
 「下着は、着たままなのか?」
 「だって、恥ずかしいし・・・ん・・・」
 俺は、彼女の体を持ち上げると、膝の上に抱え込むように載せ、脇の下から手を伸ばして彼女の胸を鷲掴みにした。
 「あっ・・・! ん・・・・やぁっ・・・」
 むにむにとしばらくブラ越しに触ってから、彼女のブラジャーを丁寧に取り去る。
 「っあ!?」
 「大丈夫、綺麗だよ。」
 そう言って、首筋にキスをすると恥ずかしそうに体をくねらせた。
 「やだっ・・・・・・、ん、あっは・・・・」
 「凄いな、鷲掴みにしてるのに・・・こんなに肉が余って―」
 「んぁっ・・・あっ、やぁ・・・余ってるとか言わないでよぉ・・・はんっ・・・・・」
 事実、俺の手ではつかみきれない程に、彼女の乳房は豊かだった。
 それでいて、形は崩れずに、しかしつかめば際限なく指がくい込んでいく程に柔らかい・・・感覚としては素手でプリンでも触っているような感触だっ
た。
 「沙耶華の胸って、柔らかいな。今まで触れたどのおっぱいよりも、とろけるみたいな感じだ。」
 「ばかぁ・・・あっ・・・それって・・・んっ・・・どうゆう意味よぉ・・・・・」
 彼女の耳元で囁いているのだが、勿論その最中もずっと揉み揉みと手は動かし続けたままだったから、彼女は体を赤く火照らせながら悶え続け
る。
 「一応、褒め言葉だよ。」
 「あぁっ・・・! あっ、あっうぁっ・・・・・・んっ・・・・・胸ばっかり・・・うんっ!・・・・・・弄らないでよ・・・」
 それもそのとうりだと思い、頷く。
 「ああ、そうだな・・・じゃ・・・」
 「ひぃんっ!?」
 沙耶華の乳首を指先で弾いてみる。
 「どう?気に入ったみたいだけど。」
 小さく笑いながら、俺は乳首だけを充填的に触り始める。
 「やっは・・・だ、だめぇぇ・・・んっあっ・・・そこ・・・あっんあぁ!」
 乳首を摘んでクニクニと捏ね上げると、面白いように俺の膝の上で彼女が踊る。
 顔を後ろから覗きこむと、歯を食いしばりどうにか声をあげないように堪えているのだが・・・それでも予想以上の衝撃が彼女の内に走るのか、指先
を動かすたびに、食いしばった口元から涎を零しながら、彼女が跳ねて声をあげる。
 「ひゃっんっあぁっっー!!だめ、だめだめっ、変になっちゃうぅっ・・・・・・」
 「凄いな、いつもこんな声だすのか?」
 そう言うと、彼女が変に心配そうな声を出す。
 「んっ・・・はぁ・・・やっぱ・・変・・・なの・・・・・・?」
 「いや、可愛いよ。」
 霧消に彼女の唇を塞ぎたくなったのだが・・・この体勢では出来ない事を思い出し、舌打ちをする。
 「・・・え・・・・・・な・・に・・・?」
 「何でもない。」
 そう言って、首筋に舌を這わせると「ひぃやっ!?」と声を出す沙耶華。
 正直ここまでのおっぱいの持ち主は見たことないので(形・大きさ・軟度)、もう少し触っていたいという思いはあったのだが・・・もじもじと沙耶華が太
腿を擦り合わせていたのに気がつき、そっと下の方にも手を伸ばした。
 「あっ―、だ、ダメッ!!」
 「だめって言ってもなぁ・・・こうゆう事してるんだし。」
 そう切り捨てて、俺はそのまま彼女の股間へと手を伸ばした。
 上から、ちょんと下着越しに押してみる。
 じゅく・・・
 「あんっ・・・」
 一押し・・・それだけで、彼女の下着から蜜が零れ落ちた。
 そのまま、閉じる太腿の間に無理矢理片手を差し込み、全体を包み込むようにして彼女の股間を揉みしだく。
 「ずいぶんと濡れてるな。」
 「やぁっ、もう、んっ・・・あっ、ばっん、あぁっんっ!」
 俺の手には、沙耶華の下着から染み出した愛液がねっとりと粘りついていくのがわかった。
 「知ってるか?豆腐つくるときって、こんな風に豆乳をこすんだ。」
 ぐにぐにと股間を揉みながら、俺がそんな事を言うと、途端彼女が泣き出しそうになってしまった。
 「〜〜〜〜〜っ!」
 失敗したと後悔しながら、彼女を支えていた腕を話しベットの上に放りだす。
 「・・・えっ?」
 そのまま仰向けにもう一度寝転がせて、再びキスで唇を塞いだ。
 「冗談すぎたよ、悪かった。」
 そう言って、もう一度唇を塞いで、舌を絡ませる。
 三度、四度目のキスともなると慣れてきたのか・・・長く舌を転がしていると、彼女も此方の舌におずおずと先を伸ばして答えようとしてくれる。
 少し嬉しくなり、長めに彼女と唇を重ねあった。
 キスは何となく、気持ちが重なり合うようで好きだ・・・なんて事を言ったら、前の彼女には思いっきり笑われてしまった。
 「・・・なんか、他の人の事考えませんでした?」
 ・・・鋭い。
 誤魔化すつもりではないのだが、もう一度軽くついばむようにキスをする。
 「・・・ん・・・・・・」
 彼女を見て、綺麗だと思った・・・俺の個人的感傷云々ではなく、純粋な客観的視点と言うやつでだ。
 胸は大きく、スタイルも良い、そして容姿は美人と可愛いを両立させているような・・・そんな美女が俺の前に寝転がっている。その上、性格も優しく
気立てがいい・・・こんな娘を振るのはどんな馬鹿なのだと、少し憤慨する。
 そんな事を考えていたら、彼女の方から唇をちゅっと軽く重ねてきた。
 「お願い、今はあたしだけを見て・・・」
 「最初っから、そのつもりだよ。」
 再び愛無を再開する。
 左手で胸を揉みながら、右の乳房を口に含む。
 「んっ、あんっ・・・」
 口の中に大きく含み、舌で沙耶華の胸をこね回す。
 その舌の動きに彼女が喘いで声をあげる。
 「あっ、んっ・・・うぁ、あんっ・・・」
 そして左手をそろそろと下の下着の方へと寄せ・・・一気に膝元まで下ろした。
 「ふぇ・・・・・・・・・あっ、だ、だめ・・・ん、あぁっ!」
 一瞬、腕を大きく伸ばすのだが・・・俺の体が途中で止めに入って、その腕は下ろされた下着まで届かない。
 「あんなびしょびしょになっちまったんじゃ、下着の意味ないよ。」
 俺の言葉でびくりと手が止まる。
 その内に、俺は下着を一気に抜き取った。
 「・・・やっ!?」
 一旦体を彼女から離す。
 沙耶華は、知らない男の前であらためて裸になっている事を思いだしたのか、びくりと縮こまり足を抱え込むようにして体を丸める。
 「・・・あのな、わかってるか?」
 さわりと、丸まったお尻を撫で付ける。
 「ひゃんっ!」
 暗闇の中でもわかる、白く綺麗なお尻を撫でながら、その手を段々を前の方へと持っていく。
 そしてその手は、蕩けきっている秘処へと持っていった。
 「あ、だめっ、ん、あぁっ・・・」
 そのまま、ちゅぷりと指を沙耶華の秘処へと潜り込ませると・・・彼女は、大きな口を開けて、喘ぐ声を部屋の中に響かせた。 
 すると沙耶華の体からは力が抜けて、瞳からも光が失せる。
 「はぁ・・・はぁはぁ・・・・・・」
 大きく息をすう音が響く。
 「・・・まずは一回・・・・・・」
 「・・・・・・?」
 僅かに此方を見て、何といった顔をする。
 「いかせてやるよ。」
 行き成り、俺は彼女の閉じていた脚を開く。
 「あぁ・・・・・・なに・・するの・・・・・・?」
 何故か、観念したかのような声を出す沙耶華。
 俺は何も答えずに、彼女の股間に顔を埋めた。
 「へ・・・あ、やだっ・・・ひっん・・・あっあぁっ!!」
 俺は、彼女の秘処を舐めたのだ。
 そのまま、蕩けきっていた彼女の秘処に舌を這わせて、潤みでてい愛液を舌で掬い取った。
 ず、じゅる、じゅ・・・・・・
 淫らしい音が、室内に木霊する。そして愛液を吸う音と共に沙耶華の喘ぎ声が輪唱を奏でた。
 「ひぃん、あっ、あっ・・・くふぅん・・・・・・」
 次々と染み出る愛液を掬いきった所で、俺は舌を彼女の中に埋没させた。
 「ひぃん!?」
 舌を動かし、俺は彼女を攻める事だけに集中する。

 「や、あ・・・んっやぁ、やぁ、やぁっ・・・ふやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 彼女の体が大きく仰け反り、今日一番の声をあげた。
 びくびくと体は痙攣を起こし、顔をあげると沙耶華は大きく口をあけて涎で口元をべちゃべちゃにしていた。
 俺は、そんな彼女の横に寝転がり、顔を押さえ込んで唇を奪う。
 「ん・・・はぁ・・・んちゅ・・・ん、むぅ・・・・・はぁ・・・」
 息も絶え絶えになりながらも、舌を絡めどうにか答えようとする沙耶華。
 「・・・頭、真っ白になった・・・・・・」
 「・・・初めてか、イクのは?」
 「イク・・・今のがイクって事なんだ・・・・・」
 呆然としながら、沙耶華は俺の言葉に律儀に答えを返す。
 しばらくキスをしながら、胸を軽く転がす。
 落ち着いた所を見計らって、再び俺は彼女の秘処に手を伸ばした。
 ちゅぷりと、指をちょっとだけ差し込む。
 「んあっ!」
 びくりと彼女の体が震えた。
 「イッた直後だから、結構敏感だろ。」
 「・・・ふぅ・・ふぅ・・・・・・うん・・・」
 「これで俺のを挿入したら、どうなるかな。」
 「・・・え?」
 俺は起き上がり、ズボンのベルトを外し始める。
 カチャカチャと音がなり、立ち上がると下に穿いてたトランクスごと一気に脱ぎ捨てた。
 怒張した、俺の肉棒が硬く大きくなっていた。
 正直いえば、彼女の胸を触り始めたあたりから膨らみ始め、ズボンの中で痛い程だったのだが・・・ようやく開放されたそれは、まるで俺自身信じられ
ない程に熱を帯びていそうな雰囲気だった。
 「あ、あぁぁ・・・・・・」
 歓喜?の声をあげる沙耶華。
 ・・・チガウカ。
 本当は、彼女にフェラでもしてもらい準備して欲しかったのだが・・・どうも今までの様子から見るに、あまり経験はなさそうな感じがする。
 慣れさせておいたほうがいいかな・・・
 そう思って、放心していた彼女の手を取り、俺のものを触らせる。
 「・・・熱い。」
 そう、沙耶華の唇から声が漏れる。
 「カセーだから、剥いてくれ。」
 「・・・?」
 俺の言葉の意味がわからず、少し首を傾げる彼女。
 こんな状況だと言うのに、意外と余裕があるのかもしれない。
 「こうやって・・・」
 彼女の手を握り、指を使わせて無理矢理俺の皮を剥かせる。
 「ひゃっ!?」
 思わず声を出す沙耶華。
 俺は、そんな彼女には構わず先ほどから開きっぱなしだった両脚の内側に座り、彼女の上にのしかかった。
 「・・・・・・・・・・・って、無理!」
 そういて、強く俺の体を押しのけようとする。
 「そんなっ、大きくて硬そうなの無理だよっ!入る筈なんてない!!」
 ・・・俺を喜ばせようとして言っているのだろうか?それとも、ヒロとかいう男のモノがそれほど情けない代物だったのか・・・
 涙目で俺にそう訴えかける沙耶華に俺は一応やさしく微笑み。
 「大丈夫だよ、準備はするから。」
 そう言って、俺は彼女の両脚を抱え、俺の肉棒を彼女の秘処にぴたりと合わせる。
 「あ・・・あぁ・・・・・」
 振るえが、両脚を通じて伝わってくる。
 「まだ挿れない・・・」
 ぢゅる・・・・・
 淫らしい音と一緒に、俺は腰を前後させた。
 彼女の秘処からは、大量に愛液が溢れ出ており・・・俺はその愛液を肉棒に纏わり付かせる。
 「ひぃん、あっ、あっ・・・ふぁぁ・・・・・」
 俺のその動きに、沙耶華は再び喘ぐことしか出来なくなる。
 じゅ、じゅ・・・
 充分に俺のモノを湿らせた後・・・彼女の腰を強く掴んだ。
 これだけ彼女の腰が蕩け、愛液が滴り落ちていれば充分だろう。
 「・・・・・・?」
 ぢゅく・・・と俺が彼女の秘処にあてがい、狙いを定めると一気に腰を進める。
 ぶちぶちぶち・・・そんな何かを引き裂くような、破るような感触を先端に感じながら。
 「んぁぁぁぁぁぁっ、ひぃ、痛い、痛いぃー!!」
 沙耶華が色気も何もなく、体を痛みで反らせて俺の腕を掴んで爪を食い込ませる。
 「・・・っい」
 ・・・ちゃんと濡れさせてから、挿入した筈なんだが。
 俺自身、少しばかり動揺していた。
 スゴ腕とは言えないかもしれないが、それなりだとは思っていたから・・・ここまで痛がられるのが最初理解できなかった。
 思わず視線を下のほうに走らせるが、暗くてそれがなんなのかよく判別できなかった。
 しばらくして、それが何なのかに思いいたる。
 「まて、お前処女だったのか・・・?」
 俺の台詞から数瞬後、彼女は涙目で気まずそうに頷いた。
 「馬鹿か、お前何考えてる!?」
 俺は、彼女を根元まで貫いたまま、思わずそう怒鳴りつけてしまった。
 びくりと彼女が震えて怯えた。
 その姿を見て、俺は何も言えなくなり、思わず溜息をつく。
 「・・・その、やっぱりめんどくさい?相手にしたくない?」
 「・・・そんなんじゃない。ただ、そうと知っていれば、他にやりようもあったって事だよ。」
 そう言って、何かを言いかけた彼女の唇を塞ぐ。
 「んぐ・・・ん、んむぅ〜・・・・・・」
 唇を離しかけたとき、名残惜しそうに・・・彼女の唇が一瞬だけ追いつき、俺の唇を啄ばむ。
 暗闇の中でも、彼女の顔が真っ赤になっているのがわかった。
 「今更だけど、優しくする。」
 「その、動いても大丈夫だよ・・・」
 遠慮しがちに沙耶華がそう呟くが・・・何となく、無理している事は手に取るようにわかった。
 「だけど、処女は相手にした事ないんだ・・・あんまり期待しないでくれよ。」
 苦笑しながら、冗談まじりに言うと彼女も微笑み。
 「うん。」
 と一つ頷いた。
 しばらく、繋がった状態のまま・・・沙耶華をぎゅぎゅぅと抱き締める。
 なんとなく、そうしたかっただけなのだが・・・これが気に入ったのか、彼女のほうからも腕を回し俺に抱きついてきた。

 「・・・そろそろ大丈夫か?」
 「うん・・・多分・・・・・・その・・・なんとなく、入ってるのが気持ち良いって感じになってきたし・・・」
 頬を赤らめ、俺にそう告げると・・・直ぐに顔を背けた。
 ずりゅ・・・
 一度ぎりぎりまで引き抜き、ゆっくりと沙耶華の中に再び埋没させていく。
 「くんっ・・・ふぅ、あっ・・・・ふぁぁぁぁー!!」
 すでに一度イッタ身で、そこは酷く敏感だったようで・・・ただ引いて挿れただけで凄い有様で声をあげた。
 「す・・ごい・・・・・・こんなに・・・はぁ、んっ、あ、あ、あぁっ・・・」
 俺は、沙耶華の声を無視して、短めに律動を繰り返した。
 小刻みに、彼女の腰に突き入れる。
 「ひぃん、はっ、あっ、あっ、ふぁっ・・・」
 彼女は彼女で凄い感じ方だったようだが、こちらも凄かった。
 沙耶華の膣の中は熱く・・・とてもきつかった。
 きつく、俺のモノを巻きつくように締め上げながら放さないというのに・・・同時に俺のを包み込みながらヌメヌメと蠢き、精を搾り出そうとするのだ。
 キツさは処女特有のものだとしても、彼女の腰が蕩けるような膣は・・・確実に男を骨抜きにする代物だ。
 どうにか、先にイッテしまうものかと渋面をつくって堪える。
 「あっあっあぁ、んぁっ!変なの、痛いのに・・・のにぃ、あっはっんっ、気持ちぃ、気持ちぃのぉっ」
 そんな俺の様子には気付くこともなく、彼女は俺の与える快感をただただ貪っている。
 「いぃっ、いぃのーっ!!」
 もっと快感を得ようとしたのか、いきなり俺に腕をまわして抱きついてきた。
 大きめのバストを擦りつけ、俺の首筋に口づけをする。
 「んんっ、んっ、んーっ!!」
 経験者としてか、それとも彼女だからか・・・なんとなく負けたくなく、どうにか屈服させたくなった。(何が負けなのかは、本人にもよくわからんのだが。)
 ぱちゅんぱちゅんと太腿が沙耶華のお尻に当たって盛大に水音が弾け飛ぶ。
 その淫らしい音が、余計に興奮をもりあげた。
 大きくグラインドをさせて、先端まで引きずり出し一気に根元へ・・・そんな動きを何度も繰り返す。
 「ひぃ、いぃっ、あっ、あっ、あぁっっ!!」
 俺が沙耶華の膣に肉棒を叩き込むたびに彼女は背をのけそらして声をあげる。
 「好きだっ・・・」
 「好きだっ・・・」
 「好きだっっっ!!」
 途中から何を言っているのか、わけがわからなくなった。
 ただ、何か胸の内に詰まっていたものをぶちまける。
 「うんっ、うんっ・・・うんっ!!」
 好き・・・あたしも・・・好き・・・・・・そんな小さな呟きがかすれて俺の耳にまで届く。
 「はぁ・・・はぁはぁ・・・・・・」
 言葉もなく、俺も沙耶華も貫き貫かれるだけとなっていた。
 あるのは、互いの息遣いの音のみ・・・
 そんな中で、俺は自分の限界が近い事を知った。
 「沙耶華・・・」
 「・・・ふぇ?んんっ!あっ、あっ、あぁっ!!」
 彼女の膣を貫き続けながら、耳元で囁く。
 「イクぞ、イクぞ、イクぞっ!!」
 これまで以上に早く腰を叩きつけながら、俺は沙耶華に怒鳴るように宣言した。
 「ひぃん、あっ、はぁっ・・・あたし、あたしも・・・もう、もぉっ!!」
 何かに耐えるように、俺にぎゅぎゅぅと抱きつきながら、賢明に俺の言葉に答える沙耶華。
 「・・・くぅっ!!」
 「ひっ、い、イクっ、あたし、もう、駄目っ、ダメだからっ、ああっ、お願い、いいっ、あっ、いやっ、あっ、あぁっ、ああああーっっ!!」 
 俺は、何もかも忘れて・・・彼女の中で果てた。
 あとから思ったのだが、コンドームをつけてなかったとか、抜いて外に出さなければとか・・・だが、この時はとにかく沙耶華の・・・この可愛い女の中に
精を解き放つ事だけしか頭になく、どくどくと彼女の中に遠慮なしに流し込んでいた。
 まるで、これがあるべき姿だと言わんばかりに。
 同時に彼女もイッたようだが・・・イクと同時に俺の肉棒を強く締め付け全ての精を絞りとろうと彼女の膣が蠢き・・・
 「うっ、ううっ・・・・・・」
 思わず残った精も彼女の中へと注ぎこんでしまった。
 「あっ、ああぁ・・・中に・・・・・・」 
 感激したような、抱きついたままうっとりとした声で彼女が俺の耳元で呟く。
 全てを忘れて、しばらく余韻にひたったまま・・・俺達は繋がったまま抱き締めあっていた。


 「ん、あっ!」
 ずりゅりと沙耶華の中から肉棒を引き抜くと、白濁とした液が彼女の中から溢れだした。
 俺は彼女の上からどくと、ベットの上に寝転がる。
 隣に擦り寄ってきた彼女を抱き締め、彼女の髪を梳く。
 「・・・ん・・・・・・」
 少し気持ち良さそうに目を細める沙耶華。
 「良かったのか・・・初めてが、行きずりのおっさんなんかで。」
 おっさんなどと、自分の事は滅多にそういわないのだが・・・珍しく少しばかり鬱になっていたようだ。
 あまり自分の事を話さないまま、ここまで話しをしてきたが・・・俺は30を越える・・・そのおっさんだ。
 だが、彼女は20歳そこそこの筈だ。
 10も歳の差のある彼女を・・・しかも初めてを奪ってしまったことに、多少のやるせなさを感じていた。
 「・・・あたしが、自分で決めて、この人ならいいってそう判断したんです。だから気にしないで・・・でも、もしあたしと寝た事後悔してるのなら・・・」
 そう言って、俺に背を向ける沙耶華。
 「そうじゃない・・・俺の事はどうでもいいんだ。ただ・・・」
 うじうじと済んだ事を悩む性格ではないのだが・・・知らずのうちとはいえ、少し酷い事をしたような気がしていたので、俺は申し訳ないような気持ち
だったのだが。
 「今日・・・ヒロ・・・博さんに体を求められていたんです。ずっと・・・それだけは拒否していて・・・いろいろ着る物とかの指図はきいていたけれど、でも
それだけは許しちゃうの不安で・・・彼で大丈夫なのかなって。ふたまたとかしてて、そうゆう事平気でしちゃう人だから・・・いつもは、最後の一線だけ
は守ってくれてたんだけど、でも・・・」
 震える彼女の背を見て・・・思わず抱き締める。
 「別に話さなくても、いいんだよ。」
 「・・・聞いて欲しいんです、貴方に。」
 俺は、静かに頷く。
 沙耶華は、それを感じて再び喋り始めた。
 「今日は違ってて、必死に抵抗したら・・・叩かれて、もういいって。あたしの事、アクセサリーの一種か何かくらいにしか思われてなかったって事です
よね・・・ほんと、馬鹿みたい。つまんない女って言われて、もういらないって・・・あたしなんかより、こっちのほうがいいって隣にいた女の子に目の前で
キスされて・・・・・・」
 抱き締めたまま、なんとなく頭を撫でた。
 小さい子にするように・・・やさしく、やさしく。
 「ずっと、ずっと・・・好きだったんです・・・ホンキで、一生の恋愛だってっ!!」
 「うん、大丈夫・・・わかってるから。」
 俺がそう言うと、彼女はわぁっと泣き出した。
 俺は泣き止むまで、彼女をずっと抱き締め続けていた。

 泣きやみ、しばらく黙って抱き締めつづけていると・・・
 「そう言えば・・・男の人って、一度じゃ納まりつかないものなんですよね?」
 ぶはっと思わず吹き出す。
 「な、な、なー・・・!?」
 「もう一回します?」
 悪戯っぽく、彼女がそう尋ねてきた。
 「別にいい、『おじさん』だからな。一回で体力使い果たすんだよ。」
 「・・・もしかして、おじさんって言われるの、嫌だったりします?」
 そう俺に尋ねてからくすくすと笑った。
 「はっはっは・・・てめぇなぁ。」
 泣いた鴉がなんとやらで、くすくすと笑い続ける彼女。
 それから、ぴくりと体を震わせてくすくすが止まる。
 にぃまぁと彼女が笑ったような気がした。
 「お元気みたいで、まだまだおじさんじゃないみたいですね♪」
 いつの間にか臨戦態勢が整っている下半身。
 抱き締めていたから、丁度彼女のお尻に俺のモノを押し当てる形になっていたようだ。
 「・・・いいですよ、あたしだったら。」
 ふぅ・・・と一度溜息をつく。
 本音を言えば、もう一回戦お願いしたい所だが・・・
 「お誘いは嬉しいが、今日破膜したばっかりだからな・・・痛みが伴うだろ。」
 ぽんぽんと沙耶華の頭を撫でるように叩く。
 「ふふ・・・優しいんだ。」
 「・・・・・・・・・」
 なんとなく、黙りこくる俺。
 「好きだ、好きだ、好きだーーーー!」
 突然、そんな事を言い出す彼女。
 「・・・なっ!?」
 「ふふ、熱烈的ですよねぇ・・・おじさんの告白。あんなのあたし、初めてだったよw」
 ・・・こ、この小娘・・・大人をからかいやがって。
 「はっはっは・・・お前、聞こえてなかったとでも思ってるのか、好き・・・うん、好きとか可愛らしく言ってたお嬢さんが!!」
 「にゃ!?ひ、ひどっ、そうゆうのって普通黙ってるもんでしょ!」
 「そりゃこっちの台詞だっ!お前・・・」
 俺の台詞を遮って・・・彼女が振り向き唇を塞ぐ。
 そして・・・
 「ねぇ・・・その・・・・・・」
 潤んだ瞳で俺を見つめる沙耶華。
 俺は、黙ってそんな彼女を抱き締め。
 「何か、弱ってる所を狙って落としたみたいでかっこ悪いんだが・・・」
 「かっこ悪くていいもん・・・」
 「別に一夜限りの・・・とかって考えでお前を抱こうと思ったんじゃないんだからな。行き成りせまっちまったのは、悪いと思うけど・・・」
 何となく、いい言葉が思いつかないで・・・視線を彷徨わせる。
 「あー・・・その、なんだ・・・」
 何かかっこいい言葉を・・・そんな考えは途中で消えた。かっこつけた俺など、もう見せられる筈もない・・・なんとゆうか、もうお互いにかっこ悪い姿を
みせちまったような気がしたから・・・
 「ふぅ・・・言ったろ、いじらしい娘は好みだって。」
 あぁぁぁぁぁっ・・・なんだ、この十代のガキみたいな台詞は!?
 もっといい言葉はなかったのか、俺!!
 「・・・いじらしい娘か・・・・・・ふふ・・・」
 くすくすと笑いだす、沙耶華。
 「お前・・・君はどうなんだよ・・・・・・」
 「あたしは・・・」
 どうしてか言葉を選ぶような仕草を見せる彼女。
 「あたしは・・・自暴自危になっちゃって、酔っ払って・・・勢いっていうのが大きいかもしれない。」
 ・・・少し固まる俺。
 「彼にふられて、だったら欲しがってた処女どこの誰ともしらない人にくれてやるって・・・はは、馬鹿だよね。」
 「・・・馬鹿なんかじゃない。」
 俺の胸に額を押し付ける彼女をそっと抱き締める。
 同時に、何となく諦めの気持ちも胸によぎる。
 「だから・・・」
 「言ったろ、いじらしい娘は好みだって・・・君のそんな姿を見てたら、ほっておけなくなって・・・まぁ、それで犯ってたら仕方ないんだけどな。」
 はははと、渇いた笑いを零してみる。
 「違うの!」
 彼女の強く否定する叫び。
 「違うの・・・そうじゃなくて、優しくされて、弱ってたからって言うのもあったのかもしれないけど・・・それでも、それでも好きになっちゃったから。好き
だって何度も言われて、凄く体が熱くなった、感動だった・・・これ以上なく幸せだから。」
 沙耶華はそう言って、抱き締めていた俺の手を振り払いベットの上に起き上がり、俺もその後を追う。
 「セックスして好きになるなんて、順番あべこべだけど・・・それでも、好きになっちゃったから・・・だから―」

 「おじさん、あたしと付き合ってください!」


 「じゃ、おじさん・・・これ、あたしのメアドと番号。メールくれたら、直ぐに返事返すから・・・」
 「ああ、俺は夕方以降は体空いてるからさ、いつでも掛けてきてくれよ。」
 朝日が昇り、始発が動き始める時間になって・・・秋本沙耶華は、俺の家の玄関を再びくぐろうとしていた。
 「ほんとは、もっとお話していたけど・・・流石にお母さんとか心配しているだろうし。」
 そう言って、舌を可愛らしくだす。
 「そうだな、出来るだけ早く戻って謝り倒すしかないしな。」
 俺もそう言って苦笑した。
 「一応、友達が誤魔化してくれている筈なんですけどね・・・」
 本当は別の用事で泊り込みになる予定だったからと、少し寂しそうに呟く。
 「あー、あのなぁ・・・そんな顔されたら返したくなくなるだろうが。」
 そう言って、俺は沙耶華を抱き締めた。
 「きゃっ・・・へへ・・・・・・」
 少しの間抱擁しあって、離れる。
 「それじゃ、おじさん!」
 「ああ、沙耶華も気をつけて帰れよ!」
 どちらともなしに、くっつきキスをする俺達二人。
 「・・・ん・・・ん、はぁ・・・」
 それから、彼女は駅に向かって駆け出して・・・急ターンしてもどってきた。
 「・・・?」
 「はぁはぁはぁ・・・おじさんっ!」
 「な、なんだ?」
 鬼気迫る沙耶華の様子に俺は少し引きながら答える。
 「そう言えばおじさんの名前、聞いてない!」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 そう言えば、そうだった気もする。
 おじさんと言われるのに、いつのまにか慣れてしまっていた・・・いやな慣れだ。
 苦笑しながら、俺は口を開いた。

 「俺の名前は、山之内貴士・・・よろしくな、秋本沙耶華ちゃん。」


 この後、いろいろな騒動が巻き起こるのだが・・・この時の俺はまだ知らない。
 そう、彼女の正体さえ・・・


END




 「そう言えば、なんであたしの名前知ってたの?・・・・・もしかして、ストーカー!?」
 「違うっ、住所調べようとして財布の中のレンタルビデオ屋のカードに書かれていた名前を見ただけだ!」

  



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